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住宅ローン特則を利用するためには3つの条件を満たす必要がある


個人債務者再生手続きの中で住宅ローン特則について解説いたします。この特則を使いますと、住宅ローンや建物は残して、そこに住みながら住宅ローン以外の負債について圧縮して、通常は100万円程度に圧縮することになりますが、それを返済することで全体の債務整理ができるという特徴があります。

住宅ローン特則は個人再生の例外的な存在

この住宅ローン特則を使うには少なくとも3つの条件を満たしている必要があります。

①債務者自身が居住用として使う建物を所有していること(共有持ち物でも可)
②建物に住宅ローンに抵当権が設定してあること
③住宅ローン以外の抵当権が設定されていないこと

なぜなら、個人再生手続きにおける住宅ローン特則は、生活の拠点となる住居を失うことにより生活再建が困難なることを防ぐ意味合いがあるからです。住宅ローン以外の抵当権が設定してありますと、それが実行されることによってその住宅を失ってしまう恐れがあるために、住宅ローン特則を適用しても意味が無くなるからです。そして住宅ローンがいくつかに別れている場合は、その債権者全員に対してこの特則を利用した個人債務者再生手続きをしなければなりません。一部の債権者のみに使うということはできない扱いになっています。

居住用の建物ならば全て住宅ローン特則を使えるのか

ここで問題となるのは居住用の建物です。例えばメインの住居とは別に用意する別荘はどうでしょうか。住居として使うということから少し外れますので、別荘の場合には住宅ローン特則の対象にはならないと考えられます。生活の本拠が脅かされないで債務整理をするというのが住宅ローン特則の主旨ですから、別荘の場合は手放しても生活の本拠が無くならない以上は、むしろ別荘は贅沢品として売却処分を行い返済に充てることが望ましいです。

また、住宅ローンはそもそも別荘購入時に使えないので、別荘を本宅として住宅ローンにより購入した場合には、本宅が別荘扱いとなり本宅側を手放すことになります。2軒の住宅を持つ時点で1つは売却処分を前提に考えて債務を弁済した上で、本格的に債務整理に着手しなければなりません。2箇所に持ち家を持っている場合には、処分可能な不動産を全て売却してからでなければ、個人再生手続きに着手出来ないわけです。

転勤のために一時的に住んでいなくても住宅ローン特則を適用出来るか

また転勤で一時的にこの住居を離れている場合は、この場合は一時的なものですから住宅ローン特則は利用可能です。よくあるパターンとして、住居と共に店舗として建物を使用している場合などです。この場合、店舗部分より住宅部分の面積が大きくなければ住宅ローン特則の適用対象となりません。従って住居部分が1/2以上であれば、住宅ローン特則は使えるということになります。店舗物件と住宅物件の違いとして、自営業者や個人事業主にありがちなケースですが、店舗面積が住宅面積よりも広いと住宅ローン自体を組めないわけです。しかし、開業後に増築を行って1つの建物として住宅面積の割合が半数を割り込んだ場合には、住宅ローンを組んでいながら住宅ローン特則を受けられないという矛盾が発生してしまうわけです。

個人再生の住宅ローン特則は再スケジュールを基本とする

個人再生手続きを行う際には、小規模個人再生と給与所得者等再生のどちらを使用する場合であっても、住宅ローン契約を行っている銀行との事前調整が必要となります。抵当権を設定している銀行にとって、抵当権を行使して競売にかけて現金化する方法がありますが、競売による売却価格は任意売却よりも低く、住宅ローンをそのまま返済してもらえた場合と比較すれば目も当てられません。返済年数にもよりますが、大半の場合には抵当権行使よりも個人再生の住宅ローン特則を利用した方がメリットが大きいです。

個人再生手続きでは、一般債務について最大1/5まで圧縮した上で36回分割払いとするので、100万円以上500万円以内の債務額ならば一律100万円に圧縮可能です。毎月28,000円の支払いならば住宅ローンが別途あったとしても支払いが可能と考えられます。また、住宅ローンの取扱については、返済不能に陥らないように既に契約済みの内容を修正して、残債額を残りの支払い年数で支払うことを止めてスケジュールの組み直しを行います。例えば、残り2,500万円を20年間で返済する予定だったとしたら、返済期間を25年間に伸ばすことで毎月の返済額を下げる組み直しを行うわけです。裁判所を通した再生計画案に住宅ローン特則として申請した上で許可決定を受けるので、住宅ローン組み直しが認められます。

また、銀行にとっては競売で処理するよりも住宅ローン部分を再スケジュールした方が得策と考えられます。なぜなら、金利設定はそのままの状態かつ残債額の減額を行わずに、返済期間を伸ばして毎月の返済額を少なくすることで返済不能に陥る可能性を減らすからです。金利と残債額が同じで毎月の返済額を減らして返済期間を長くするわけですから、毎月の支払いは楽になっても返済総額は実質的に増えることになります。住宅ローンを抱える銀行にとっては、返済総額が増える分だけ事実上得をすることになるので断る理由が無くなるわけです。抵当権はそのまま設定しているので、万が一再生計画案が破綻した時には迷わず抵当権を行使して住宅を競売にかけて現金化すれば良いでしょう。

個人再生手続きならば持ち家のみ資産として残せる

住宅を維持できるかどうかというのは債務整理にとって大きな節目です。個人債務者再生手続きの住宅ローン特則が利用できるかどうか、これは債務整理を行う上で利害の大きい所ですから、債務整理に入る前によく弁護士に相談して自己破産を選ぶべきか十分に検討する必要があります。なぜなら、一度債務整理を行って持ち家を失うと、債務整理を行った事実が残るために再度住宅ローンを組むことは事実上難しくなるからです。債務返済を行うためには、ある程度モチベーションを維持し続けることが何よりも大切ですから、持ち家を失った時点で勤労意欲を失ってしまう人が出かねません。債務整理を行う上で個人再生迄で踏みとどまれるかどうかが、1つの分かれ道となるので、弁護士と真剣に話し合った上で方針を決めることが大切です。



 

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