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未成年の子供の借金は親が払うべきか?契約に関する基本的なルールを知っているかがポイント


【質問】東京の大学に通っている18歳の息子が消費者金融から借金したらしく、私の所へ返済を求めてきています。このような場合、親には借金の返済義務はあるのでしょうか?また息子は未成年ですので、未成年者には貸した側にも問題があると思うのですが、いかがでしょうか?

【回答】両親には保証人か連帯保証人になっていなければ、支払い義務は全くありません。今後、消費者金融業者が支払いの催促にきた場合には、両親としては支払う意思のないことは、はっきりと伝えたらよいでしょう。

業者が執拗に支払いを求めるのであれば、貸金業法第21条1項(取立行為規則)違反で刑事告訴するか、監督行政庁(金融庁・財務局か都道府県の貸金業指導係)に対し、行政指導または、行政処分の申立てをしたらよいでしょう。また場合によって、両親に対する取立禁止を求める仮処分や損害賠償請求などの法的手段をとることもできます。

■未成年者が単独で行った借金の契約は取り消すことができる

未成年の子供の借金については、取り消すことが出来ます(民法第4条2項)。未成年者は単独で法律行為を行うことは出来ないので、日常家事に該当すること以外は原則として親権者の同意が無ければ契約が有効に成立していたとしても後から親権者により取り消し可能です。したがって、親権者が知らない間に行われた借金については、消費者金融業者に対して金銭消費貸借契約を取り消す旨の通知を内容証明郵便で出すようにしたらよいでしょう。実際に多くの正規消費者金融では、申込可能年齢を満20歳以上としている背景として、親権者の同意が借入の都度必要になるというカードローンの特性に理由があります。

契約を取り消した場合、契約は初めから無効だったものとみなされ、未成年者は業者に返還する義務を負うことになります。しかし、借金を遊興費等に使ってしまったのであれば、未成年者は業者に返還する必要はありません。まだ手元に借金が残っていたり、自分の必要な生活費に使ったような場合は、その分を業者に返還しなければなりません。つまり、貸金業者にとって未成年者への貸付は、後から契約が取り消された時にほとんど貸付金を回収出来ない事態となるので、最初から融資を行う対象とはしたくないわけです。

無担保で貸し付けるカードローンは未成年者との契約にそぐわない

クレジットカードのキャッシング枠は、満20歳以上にならなければ設定されない理由として、消費者金融が行っているカードローンと似た特徴を持つ点が挙げられます。民法第4条2項により未成年者が行った単独の法律行為は、親権者により後から取り消し可能とされているので、貸付が発生するごとに親権者の同意を得なければならない何度でも出し入れ可能なカードローンは合いません。ATMで利用限度額の範囲内であっても、その都度親権者へ貸金業者から電話連絡を入れて同意を得ない限りは有効な契約とならないわけですから、未成年者とのカードローン契約は実質的にいつでも親権者により取り消し可能です。

学生ローンは証書貸付という方式で親権者の同意が無い限り融資を行っていない

では、学生ローンはなぜ未成年者に該当する18歳・19歳に対して融資を行えるのか疑問に思う人がいるでしょう。ポイントとなるのは、学生ローンはカードローンではなく証書貸付という点にあります。証書貸付は、借入の都度審査を行い一括で貸付を行い、決められた分割払いスケジュールにより均等返済を行う仕組みです。審査時に毎回親権者に対して親権者同意意思確認を行った上で、証書に親権者の直筆サインを求めることになるので、無担保ローンであっても親権者による取り消しが行われません。また、中には親権者を保証人とした限度額固定の根保証タイプの契約を行うことがあるので、一般的な消費者金融とは異なり学生を専門に大学近辺で営業しているニッチな存在であり続けることが出来るわけです。

なお、支払能力のない未成年者に金銭を貸付けることは、過剰貸付けを禁止した貸金業法第13条違反となりますので、監督行政庁(金融庁・財務局か都道府県の貸金業指導係)に苦情申立てをしておいた方がよいでしょう。

親は保証人になっていなければ支払い義務無し

債権者から未成年者である子の借金返済を迫られた場合には、速やかに内容証明郵便にて子が単独で行った金銭消費貸借契約を取り消す旨通知すると良いでしょう。なぜなら、保証人になっているかどうかは親ならば把握しているので、心当たりが無い限りは突っぱねることが可能だからです。仮に親権者同意欄に署名があったならば、自らの筆跡とは異なることを証明すれば良いので、裁判所へ訴えるように債権者に対して勧めてみましょう。貸金業者ならば、親権者同意欄に記載されている署名が親のものでなければ無効と分かっているので、その時点で親権者に対する取り立てを止めると同時に金銭消費貸借契約についても取り消しを受け入れるしかありません。

保証人になっているかどうかは、印鑑証明書の入手経路と整合性を追求することになるので、貸金業者から保証人になっている旨を言われても慌てる必要はありません。なぜなら、保証契約が本物であることの立証責任は貸金業者側にあるので、親自身が身に覚えがないという証言をしている時点で回収が困難だと分かるからです。正規の貸金業者であっても、連絡を受けた親がうっかり子供可愛さに借金を払ってもらえれば追認したという証拠を得られるので、ダメ元で引っ掛けに来ている可能性があります。

クレジットカードのキャッシング枠に注意しよう

例外的に親が払わなければならない事例として、クレジットカードのキャッシング枠を使われた場合が挙げられます。大半の信販会社では、親を正会員として家族カードという形で未成年者にクレジットカードを持たせることが可能です。本来ならば未成年者に対してキャッシング枠は開放されないわけですが、一部のカード会社については条件付きで利用限度額が10万円程度と低いキャッシング枠を未成年者に開放していることがあります。実はクレジットカードの正会員と家族会員の関係は、会員規約により正会員が保証人となっている契約です。このため、未成年者が行った借金は親本人の借金とみなされてしまうわけです。クレジットカードの家族カードに設置したキャッシング枠については、毎月の利用明細票にて確認しておかなければなりません。



 

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