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夫の借金を妻が払うべきか?日常家事債務に該当するかがポイント




夫が私に内緒で消費者金融から多額の借金をして、蒸発してしまいました。そのため現在は、私のところに消費者金融の督促と取り立てが集中してほとほと困り果てています。 いったい、夫の債務は妻にも支払い義務があるのでしょうか?

借金は本人のみに返済義務があり配偶者には支払い義務がない

妻が保証人になっていない限り、妻には支払い義務はありません。つまり夫が消費者金融から借りた金銭は、夫だけが支払い義務を負うことになります。

民法には日常家事債務について夫婦の連帯責任を定めた規定があるので、消費者金融業者の中にはこの規定を根拠として、夫の債務は妻にも支払い義務があると主張してくる業者もあります。しかし、金銭消費貸借契約を結ぶことが直接家事債務に該当するといった主張はほとんど通用しません。

というのは「日常の家事」とは未成年の子を含む夫婦の共同生活に通常必要とされる一切の事項と解され、例えば食料・衣料・家具などの生活必需品の購入、子の教育、医療などが日常家事行為に該当します。

したがって、夫が仕事上、職業上の必要から消費者金融から借金をしたり、ギャンブル・遊興費のために消費者金融から借金する場合は、当然ながら日常家事債務とは言えません。消費者金融の借金が大きくなれば返済のために、別の新たな業者から借入れをするという場合がよく見受けられますが、このような場合も夫個人の問題であって日常家事債務とはいえません。

貸金業者に届け出た借金理由は返済義務に影響しない

また消費者金融業者から借金をする際、例え「生活費のため」「子供の教育のため」という理由で借金し、実際にそのように使った場合でもすぐに日常家事債務とは認められません。なぜなら、次の4つの理由を考慮すれば消費者金融からの借入が日常家事債務に該当しないことが明らかだからです。

①消費者金融債務が特有の高金利と厳しい取り立てを伴っていること

②消費者金融業者がもし妻に債務を負わせることを求める場合は、きちんと保証人としての署名捺印をとるべきであること

③消費者金融業者などの専門の金融機関から借金するのは親戚や知人から借金をするのとは行為の重みが全然違っていること

④消費者金融を始めとする貸金業者との契約審査は、本人以外の代理人申込を一切受け付けていないこと

上記理由から、消費者金融からの借金は、その行為の客観的性質からして、いかなる場合にも日常家事行為には、該当しないと言う考え方が強いのです。

申込審査時に配偶者への確認をせずに取り立て時のみ請求をすることは許されない

消費者金融業者から一途が借金をする場合、業者の側は妻に問い合わせをするなどの調査をしないで貸し付けているのが実情ですから、ほとんどの場合、業者の側に、日常家事に関する法律行為に属すると信ずるにつき「正当な理由がない」と判断され、表見代理の成立が否定されることになると思われます。判例もすべて表見代理の成立を否定した事例ばかりであり、肯定した事例は見受けられません。

日常家事債務の範囲を知っておこう

民法第761条には、次のように日常家事債務について定められています。 「夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。ただし、第三者に対し責任を負わない旨を予告した場合は、この限りでない。」

日常家事債務は、食料品・衣料品といった生活必需品だけでなく光熱費・養育費・医療費といった毎日の生活で欠かせない出費に関する法律行為が該当します。よくある例として、クレジットカードを夫婦それぞれの名義で持っていたとしても、支払いはどちらか一方の預金口座からまとめて支払いしている場合には、日常家事債務の範囲内についての範囲と考えられるわけです。このため、1着数十万円もする毛皮のコートを勝手に購入してきたといった場合には、そもそも夫婦で話し合ってから購入すべきですから日常家事債務とはならずに購入者のみが支払う性質の債務です。

日常家事債務に該当していれば、連帯保証人となっていなくても夫婦間で常に連帯保証を負うことになっています。しかし、金銭消費貸借契約については原則として本人しか契約が出来ないので、連帯保証人となっていない限りは借入目的の申告に関わらず日常家事債務とはなりません。もし貸金業者が実際に日常家事債務による借入だとして保証人ではない妻に対して夫の借金を請求しようとすると、借入したお金を本当に日常家事債務に該当する使い方をしたと立証しなければならないわけです。実際にどのような使い方をしたのか蒸発した夫しか証言出来ないので、貸金業者は金銭消費貸借契約について保証人となっていない妻に請求出来ません。

夫が勝手に連帯保証人欄に妻の名前を書いた場合はどうなるのか

夫が勝手に連帯保証人欄に妻の名前を書いただけでは、正式な連帯保証契約が締結されたことにはなりません。なぜなら、貸金業者は妻に対して直接連絡を取った上で連帯保証契約を結ぶ必要があるからです。妻以外の人間が妻のフリをして連帯保証契約を結んだ場合には、夫以外の第3者が介在しているので既に詐欺事件となってしまうでしょう。少なくとも妻が連帯保証契約をしていないことが証明されるので、いずれにしても貸金業者が妻と直接連帯保証契約を結んでいない限りは妻に支払い義務はありません。

無担保ローンでは保証会社を保証人として付けていることが多い

貸金業者が蒸発した夫の債務を返済するように求めた来た際には、保証会社が入っていないか確認すると良いです。なぜなら、保証会社を入れて保証人としている契約が多いので、貸金業者は無関係の妻に返済を迫るよりも保証会社に対して代位弁済を求めれば済むことだからです。完全無保証人で融資を行ったのならば、夫に対してのみ貸金業者は請求するしか無いので、妻は無関係の立場を貫くだけで問題ありません。脅迫や強要を貸金業者が行って来た際には、録音の上で警察へ刑法犯罪として通報すれば終わりです。

貸金業者が本来無関係の妻に対して取り立てを迫ること自体が、貸金業法に違反しているので、監督官庁に通報すると共に刑法犯罪を行った場合には警察への通報をすると良いでしょう。また、蒸発したという状況ならば、警察へ行方不明者の届け出を出して失踪宣告を7年間かけて狙うと婚姻関係も解消可能です。貸金業者から突然行われる督促は不快なものですが、冷静になって考えれば対処出来ることですから、慌てずに必要に応じて弁護士へ相談してみると良いでしょう。

貸金業者の狙いが法律知識の無さによる妻への追認狙いだと知れば恐くない

以上の通り、夫が内緒で借りた消費者金融の借金については、妻は支払い義務を負いません。支払い義務がないにも関わらず、相変わらず請求を続ける業者に対しては、これ以上請求をしないように警告する旨の警告書を内容証明郵便で出しておけばよいと思います。それでもなお、悪質な取り立てを続ける業者に対しては、取立行為の規制違反で警察や検察庁に告訴できますし、監督行政庁に対して営業停止、登録の取消を求める行政処分を求める申立が出来ます。また場合によっては、取り立て禁止の仮処分申請や慰謝料の請求もできます。



 

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