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ハードシップ免責は注意!個人再生にもいざという時の免責制度あるの?


小規模個人再生手続きの申立をして、再生計画案が裁判所によって認可されたのですが、その後の支払いが困難になってしまったケースをご紹介します。

小規模個人再生手続きの後、28ヶ月間にわたって決められた通りの弁済をしてきました。しかし、脳梗塞で倒れてしまい仕事が出来なくなってしまいました。支障無く日常生活を送れる程度に回復するには3年はかかると医者に言われ、このような状態でこれまで通りに弁済を続ける事が不可能になってしまいました。

このような支払いが途中で困難になったケースでも、個人再生にはハードシップ免責という免責の申立があります。ハードシップ免責の申立は再生債務者だけが適用されます。再生計画遂行中に以下4つの要件をすべて満たすと裁判所は、再生債務者の申立によって免責の許可を出します。

1.再生債務者がその責めに帰することができない事由により再生計画を遂行することが極めて困難になった。

2.一般的基準により変更された後の各基準債権に対して四分の三以上の弁済を終えていること。

3.免責の決定をすることが再生債権者の一般の利益に反するものでないこと(精算価値保証原則)

4.再生計画の変更をすることが極めて困難であること。

このような要件をクリアした方は、裁判所に対してハードシップ免責を申し立てることが出来ます。 小規模個人再生手続きにおいて健康面や雇用の問題などで、個人再生後の長期の支払いに関して不安を抱えている方でもこのような制度があることを知っておくと心強いかもしれませんね。個人再生に関しては弁護士に委任するのが一般的ですので、こうした健康面や雇用の不安なども事前に相談してみてはいかがでしょうか。

ハードシップ免責はあくまでも最終手段に過ぎない

債務整理を行う際に、個人再生を選択する人の多くは多少なりとも資産を持っているか、住宅ローンを抱えていることを理由としてます。自己破産の免責不許可事由に該当する人はやむを得ず個人再生としているケースもありますが、そもそも自らが招いたことですから覚悟を持って返済しなければなりません。しかし、本人の責任では無い部分で当初の再生計画案が実現不可能となった時には、最終手段としてハードシップ免責を用意しています。

4つの要件を全て満たすためには、2番目の3/4以上の弁済を終えているという点に引っ掛かる人が多いでしょう。36ヶ月に渡る返済期間のうち27ヶ月以上の返済を行えた人に限り、ハードシップ免責を使えるというわけです。もう少しで再生計画案の達成が出来るにも関わらず、勤務先の倒産や本人の病気や事故により働けない身体になってしまった場合が該当します。個人再生を行っている時点で既に債権者には多大な迷惑を掛けていることになるので、更に無理をお願いすることに対しては厳しい条件が付いているわけです。このため、ハードシップ免責に該当しているからすぐに申請を行うといった安易な考え方をせずに、あくまでも他の手段を使えない場合のみ最終手段として実行に移すという姿勢が望ましいです。

先に再生計画案の延長を提案する

ハードシップ免責は、実質的に個人再生の途中で自己破産の免責を受けてしまうような強権発動となるので、債権者平等の原則が強く発揮されます。デメリットも伴うので、安易に適用させてしまうと大問題となりかねません。そこで、個人再生に基づき再生計画案通りの返済を行ってきたのであれば、ハードシップ免責を申請する前に再生計画案の延長を提案してみると良いです。個人再生計画は、3年間を基本として組んであるのでやむを得ない事情ならば、期間を延長してもらい毎月の返済額を更に減らして返済総額だけは維持するという流れです。返済計画については、金利が掛からない前提となっているので、あくまでも返済期間を延ばすことで実質的に毎月の返済額を減らすという意味合いがあります。特に住宅ローンを抱えている状態では、住宅ローン滞納が即抵当権に基づく差し押さえと競売に繋がってしまいがちです。

ハードシップ免責のデメリットとして住宅を失うおそれがある

個人再生による再生計画案通りの返済を行ってきた人にとって、突然本人に降り掛かった不幸により返済が困難になったならば、救済措置として厳しい条件の下でハードシップ免責を受けられるメリットは大きいです。しかし、ハードシップ免責を救済だと実感出来るのは、住宅ローン特則を利用していない一般的な個人再生計画案に対してであって、住宅ローン特則を適用した個人再生に適用させると大惨事を招きかねないデメリットがあります。なぜなら、ハードシップ免責は、届け出している全ての債務に対して免責を与えてしまうので、自己破産を行った時の破産免責に近い強い効力を持っています。住宅ローン債務についてもハードシップ免責が有効になっていまいますが、抵当権を制限するものでは無いために、住宅ローン特則付きのハードシップ免責を申請する場合には、同時に住宅ローン部分については一括返済をして抵当権を抜いておかなければなりません。そもそも住宅ローン債務を一括返済出来るくらいならば、ハードシップ免責を申請しないので、事実上ハードシップ免責を実行すると持ち家を失うことになります。

ハードシップ免責が認められなければ自己破産へ移行しよう

ハードシップ免責の適用条件は厳しいので、認められなければ自己破産申し立てを行うといった手段へ移行する必要があります。なぜなら、再生計画案の延長を提案しても債権者に認められないという状況下では、既に返済手段を失いつつある状況では最早自己破産しか手段が残されていません。たとえ破産免責不許可事由に該当する借金が含まれているから個人再生を行ったとしても、他に手段が無ければ自己破産を行い今まで再生計画案に基づき返済してきた実績を主張して、裁量免責を狙うしかないでしょう。ハードシップ免責を申請しなければならないほど追い詰められている状況下では、覚悟を決めて一度全てを清算してやり直すことを考えるしかないわけです。



 

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