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みなし弁済規定を主張する貸金業者がなぜいるの?弁護士に依頼すると良い理由


本来であれば、利息制限法で規定されている金利の上限額を超えて支払った金利は、民事上では無効となり、グレーゾーンの利息分を除いて元金の支払いに充てることができます。このことを「引き直し計算」といいます。

引き直し計算をして超過支払い分を元金に充当した結果、借金を完済していたという例も少なくありません。また、元本が完済された後の過払い金を、返還請求することもできます。

しかし、このグレーゾーン金利が「債務者自らがすすんで支払いをしてしまう」とみなされた場合、引き直し計算で元本に充当できる金額が無効になってしまい、債権者がその利息分をそのまま受け取ることが出来ます。これを認める法律上の規定を「みなし弁済規定」といいます。みなし弁済規定では、利息制限法の上限金利を超過した利息分であっても「有効な債務の弁済をしたものである」とみなされ、債権者は債務者に返還しなくても許されるのです。 ただし、みなし弁済規定の適用に当たっては、貸金業規則法によって厳しい条件が課せられ、それらをすべて満たすことが義務づけられています。

みなし弁済の適用を受けるための条件

①貸主が貸金業登録業者であること

②借主が返済金を利息と認識して支払っていること

③借主が任意に支払った利息であること ※但し利息制限法の事も知らずに借りているときは、任意に支払ったことは認められない

④契約の際、貸金業規正法の第17条要件を満たしている契約書を交付していること

⑤弁済の際、貸金業規正法の第17条要件を満たしている領収書を直ちに交付していること

上記の要件を全て満たすことで、みなし弁済規定が適用されます。しかしこの要件をすべて満たしている貸金業者は、ほとんどいないといってもいいでしょう。

改正貸金業法が完全施行される以前は17条書面の交付がされていなかった

改正貸金業法が成立した2007年までは、旧貸金業の規制等に関する法律(通称は貸金業規制法)による規制のみが行われていましたが、新しい貸金業法ではより厳格な運用が行われるようになりました。法律に詳しくない本人が過払い金請求を行うと、貸金業者はみなし弁済を主張することで法律知識の差を利用して丸め込もうとします。弁護士に委任していれば、みなし弁済の規定から外れる貸付だったことを裁判上でも堂々と主張出来るので、結果的に貸金業者は弁護士が出てきた時点でみなし弁済規定の主張を取り下げる傾向です。

貸金業者がみなし弁済規定を理由に利息制限法で定められた上限金利を上回る利率により発生した利息について、任意に債務者が支払っていたという主張をします。しかし、借入と返済の都度貸付条件明示書と領収書をATM経由または郵送により交付していなかったことは明らかです。仮に当時の全ての書面が提出されていたとしても、裁判所に出て争った場合には、本人がみなし弁済について理解していなかった場合には無効とされます。このため、すぐにでも訴訟提起に踏み切れる弁護士が代理人として登場した時点で、貸金業者はみなし弁済の主張を取り下げるわけです。なぜなら、裁判で争っても2006年の最高裁判所判決により、みなし弁済の任意性を否定しているからです。

みなし弁済の任意性を否定した2006年最高裁判所判決の影響が大きい

2006年にみなし弁済について争われた最高裁判所判決(最二小判平成18年1月13日)では、みなし弁済規定が実質的には機能していなかったことを指摘してみなし弁済を否定しています。改正貸金業法によりみなし弁済規定が撤廃されたものの、旧貸金業規制法下ではみなし弁済規定が存在していました。最高裁判所まで争われた背景として、みなし弁済規定があったとしても金銭消費貸借契約には、期限の利益喪失規定があるために貸金業者から指定された返済額を支払わなければ一括返済を求められてしまうからです。みなし弁済について任意性を貸金業者が本人に対して説明して納得していれば、誰も利息制限法を上回る利息を支払うことは考えにくいでしょう。借金返済で苦しんでいる人が、毎回貸金業者に対して喜んで寄付をしているとは考えにくいことは誰にでも分かります。

最高裁判所の判決では、金銭消費貸借契約には期限の利益喪失規定が付いているために、債務者にとってみなし弁済額は任意ではなく貸金業者による強制となってしまう点を指摘しているわけです。任意に支払った追加の利息ではないため、旧貸金業規制法に定められた債権者に有利なみなし弁済規定の条件を満たさないことになります。多くの貸金業者は、17条書面すら交付していなかったわけですが、17条書面を交付していた場合であっても任意性という部分が否定される結果となっています。

みなし弁済を主張する貸金業者は悪質性が高い

既に完済済みの債務について過払い金請求を行うならば、請求書を内容証明郵便で貸金業者へ送るだけですから、個人的に行うことも可能です。金利引き直し計算を行うソフトウェアが存在するので、過去の取引履歴さえしっかり保管してあれば、弁護士に依頼しなくても過払い金請求自体は可能です。

しかし、貸金業者が弁護士を通さない過払い金請求に対して素直に応じるとは考えにくく、悪質性が高い貸金業者についてはみなし弁済を主張して過払い金返還を全て拒否することがあります。過払い金の存在を認めて減額交渉をしてくる貸金業者ならば、弁護士費用を考えた上で交渉に応じる人もいるでしょう。問題となるのは、みなし弁済を主張する貸金業者は、質が悪い主張を繰り返し行ってくるという点です。貸金業者からの回答文にみなし弁済を主張する項目が含まれていたら、迷わず過払い金請求に強い弁護士へ相談して委任する必要があります。なぜなら、一筋縄で行かない貸金業者を相手にする際には、手間と時間が掛かるだけでなく法律知識の乏しさを悪用されてしまう可能性が高いからです。



 

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