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父親と兄弟の援助で借金の整理に成功?任意整理を一括返済で行うとなぜ効果が絶大なのか


家族や親族の協力で一括弁済できたケースをご紹介します。

Aさん(30歳、男性、会社員)は数年前に交通事故を起こしてしまったことがきっかけで、損害賠償金の支払いのためにクレジット・サラ金から借金をする羽目になってしまいました。その後Aさんは、クレジット・サラ金業者に対する支払いのために新たな借金を繰り返したり、新聞の折り込み広告で知った紹介屋や買取屋を利用するようになり、Aさんの借金は雪だるま式に膨れあがってしまったのです。

Aさんが勤務先の会社で仕事中に事故にあって重症を負い入院したために、Aさんの父親が弁護士の事務所に訪れた時に、Aさんはクレジット6社、サラ金7社の合計13社より合計約500万円の借金を抱えていました。Aさんの借金の整理についてはAさんの父親や兄弟が全面的に協力すると誓ったことから、一括弁済の任意整理を行うことになりました。

Aさんの借金を利息制限法に基づいて計算すると、Aさんの残りの借金は13社合計で約440万円になりました。債権者(クレジット・消費者金融業者)に対しては、Aさんが会社で勤務中に重症を負い、入院リハビリ中であること、返済金はAさん親族が用意したものであることを説明した上で、利息制限法に基づいて計算した残りの借金額の約7割を一括弁済する旨の弁済案を提示したところ、すべての債権者の同意が得られて、無事解決することが出来ました。債権者に支払った金額は、13社合計で約300万円ですので、もともとの債権者の請求額(約500万円)の約六割で解決したことになります。

※勿論、弁護士費用が別途かかりますのでトータルの支払金額は300万円以上になるものと思われます。

本来の任意整理について整理してみよう

上記事例を理解する前に、本来の任意整理について基本的な部分を知っておく必要があります。なぜなら、任意整理の基本形を知らない状態で、上記事例と同じ手法を採用しても必ずしも同じ結果になるとは限らないからです。弁護士へ依頼した上で行う任意整理は、本来次の3つの点について債権者と任意に交渉して減額または免除してもらう和解手続きです。

①将来利息
②経過利息
③遅延損害金

上記3点を全てゼロという形で債権者へ免除してもらえたとしても、元金返済はそっくり残ります。任意整理を行う際には、弁護士による懸命な交渉を行っても元金減額まで期待出来ないわけです。上記事例では、元金減額まで踏み込んだ減額交渉に成功しており、債権者が渋々納得するほどの状況となっています。では、なぜ元金の減額にまで成功したのでしょうか。

一括返済前提での任意整理なら元金減額に踏み込める

債権者にとっては返済が滞りつつある債務者からは、早期に貸付金を全額回収したいと考えているはずです。しかし、弁護士に依頼して任意整理を行う時点で、少なくとも契約通りの履行を求めることが現実的に厳しいことを債権者側も悟ります。そこで、将来利息・経過利息・遅延損害金のうちいくつかを減額または免除することにより、少なくとも元金回収だけは全額行う方針を金融業者は弁護士に対して見せる流れです。

上記事例では、債権者に対して元金の減額を7割まで下げてもらう代わりに、一括返済を行うという提案をしています。一見すると債権者が、元金全額の回収を放棄して7割で手を打つことに違和感を感じる人も少なくないでしょう。ポイントとなるのは、任意整理を弁護士に依頼して行う時点で、債権者は既に債務者本人に対する信用がほぼ無くなっている点にあります。任意整理による和解案は、通常3年間36回払いにより元金全額を完済する和解案が前提です。しかし、3年間経過するまでに本当に完済出来るのかという点については、債権者である金融業者も半分信じていないと考えられます。本当に支払えるか分からない元金全額よりも、3割目減りしても元金の7割を一括返済してもらった方が良いという考え方です。

ここでポイントとなる点は、債権者の多くが元金の半額では納得せずに7割ならば応じるということです。3年間に運用可能なお金を考えると、年15%の運用益では元金の半額を一括返済されても新たな貸付を行った結果として3年間で元金全額相当を回収出来ません。一方、元金の7割を一括返済してもらえれば、回収した現金を再度別の相手に融資を行えば、3年間で減額した3割以上の回収が可能です。将来受け取れるか不明な元金全額よりも、3年間で別の貸付により元金相当額を回収可能な7割一括返済を選んだ方が債権者にとって確実な回収方法となります。任意整理交渉に長けた弁護士に依頼すると、最終的な着地点として元金の7割一括返済を提案されるでしょう。今回は父親と兄弟の援助により確実に元金の7割一括返済が可能という点が、多くの債権者を渋々ながらも納得させることが出来たポイントです。

個人再生や自己破産をちらつかせることで交渉可能

債権者にとって元金減額まで踏み込むことは、短期的に考えると大きな損失となります。弁護士にとっても元金減額交渉は任意整理の中でも難易度が高く、必ずしも成功しない事例に変わりありません。しかし、依頼者本人が怪我で働けない状態が続いていれば、自己破産に至る可能性があると弁護士が債権者に匂わせる可能性があります。債権者にとっては個人再生で1/5、自己破産で全額回収不能に陥ることが明らかですから、少なくとも追い込み過ぎることは逆効果だと分かります。自己破産されてしまうと、元金を全て回収不能に陥らせてしまうことになるので、少なくとも一括返済してくれるなら元金減額に応じても良いかという考え方となるわけです。

任意整理の条件としては、元金全額返済までが一般的な和解可能なラインですが、個人再生ならば債権者は8割を回収不能とさせてしまいます。自己破産に至っては全額回収不能となるので、残念ながら元金の7割でも回収出来る時に一気に回収して、残りは損失計上してしまおうという考え方です。弁護士が代理人として介入した時点で既に不良債権化していることが明らかですから、いかにして損失額を少なくした上で早期回収を徹底させるかを債権者は考えます。貸付元金回収率と回収完了までの時間を天秤に掛けて考えれば、本人以外の人の援助を受けて一括返済してもらえるなら、元金の7割で我慢してすぐにでも回収をしてしまおうと考えるわけです。



 

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