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商工ローンの現状と手口


商工ローンとは

商工ローンとは中小・零細商工業者に対して資金の融資を行う貸金業者を意味します。消費者ローン(サラ金)が個人に対して資金の融資を行うのに対応します。 サラ金は通常、無担保で50万円程度を限度として資金を貸し付けます。これに対して商工ローンは、担保付きで数百万、ときには1千万以上の高額な貸付を行います。 商工ローンの規模は上場している大手からごく小規模のものまで様々です。一般に銀行等が行う融資は取引実績を前提として申込みから実行まで相当に時間と手間が掛かります。 これに比べ商工ローンは手続きが簡便であるため、中小・零細商工業者には便利な融資であると、評価する向きもあります。

しかしながら、商工ローンについては「商工ローン3点セット」といわれるように①根保証②高金利③過酷な取り立て、という重大な問題が指摘されており、法的制度を悪用するなど悪質なものも少なくない。

保証人貸付け

商工ローンは必ず連帯保証人を要求します。商工ローンは、借主が破綻し返済不能となることを当然の前提として貸付を行っている。そのため、商工ローンは、上場企業の社員・公務員・不動産所得者など信用のある者を連帯保証人として要求します。 「利息は借主から、元本は保証人から回収する」というのが商工ローンの基本方針です。商工ローンは、複数の連帯保証人を要求することもあります。この場合、知らない者同士が保証人になっていることもあります。

商工ローンの取得する連帯保証契約の内容は根保証となっています。この場合、保証限度額・保証期間は定められてはいるものの、限度額や既存債務について保証人に十分に説明しなかったり追加貸付けについても保証人に全く連絡せずに実行したりします。

過酷な取り立て

商工ローンは、借主が支払不能に陥ったり不渡りを出したりすると、直ちに過酷な取り立てを開始します。 借主・保証人の自宅や職場に担当者が突然電話をかけたり訪問し圧力を加えるなどして強引に債権を回収しようとするのです。 ある大手商工ローンでは以下のような取り立てが行われました。

①「この泥棒野郎。親や兄弟・親戚に頭を下げて金を作ってこい」「金ができるまで帰さないぞ」「腎臓を1つ売って金を作れ。病院を紹介してやってもいい」などと脅迫しました。

②担当者が簡易裁判所の調停委員の前で、調停を申し立てた借主に対し「何が調停だ。調停は認めない。今すぐ一括で払え」などと怒鳴った。

③担当者が机に拳を叩きつけたうえ、保証人に対し「どうしてくれるんだ。知り合いに電話して金を借りろ」「金作れなきゃ腎臓売れ。300万くらいで売れるわ。目ん玉1個売れ。100万くらいで売れるわ」などと語気を荒げて返済を迫った。 又、この商工ローンでは暴力団の名前を出して取り立てる例もあったといいます。

このような過酷な取り立てを受けて、耐えきれずに自殺をしてしまう借主・保証人もいます。実際「債務者4人が自殺していたことも分かった」「北海道では自営業男性が600万円の債務を抱えて自殺し、債務は生命保険で支払った」と報じられている。

担当者がこのような過酷な取り立てを行うのは、支店ごとに厳しいノルマが課せられているためです。実際、前記の担当者も「社長から電話でノルマを達成するように言われ、厳しい取り立てをせざるを得なかった」「成績がわるいため本社に呼び出された」などと弁解しています。

法的制度の悪用

商工ローンが行う具体的な取り立て方法として以下のようなものがあります。

①弁済や新たな債務引受先確保のために経営者を監禁して連れ回す

②事務所・自宅等の不動産に貼り紙をして占拠したり、商品・家財道具等の物品を搬出し売却したり、帳簿書類を持ち去ったりする

③債権譲渡通知を取引先等に送付する

④不動産の名義変更や担保権設定の登記手続きを行う

⑤差押え・仮差押え・仮処分などの法的手続きを行う

商工ローンは。様々な法的制度を悪用して、以上のような取り立てを行います。商工ローンの担当者にとっては、以上のような取り立てはごく日常的な事なので平然と僅かな期間ですべてを終えてしまいます。商工ローンの担当者は法的手続きについて豊富な知識を持っており経験の浅い弁護士では全く相手にならないとも指摘されています。

例えば根抵当権の仮登記手続きを行う場合には所有者の承諾書が必要であるが、商工ローンの担当者は、この承諾書に添付する印鑑証明書が作成後3ヶ月以内のものである必要はない事を知っています。このような知識は弁護士であっても知らないことが少なくないと思います。

公正証書制度の悪用

ある大手商工ローンが年間に作成する公正証書は全国の金銭消費貸借関係の六分の一に当たる4万件以上に上り、その依頼先が東京都内の公証人十数人に集中しています。 それぞれ同社分だけで年間1千万~数千万円の手数料を得ているとみられます。

このように商工ローンが積極的に公正証書を利用しているのは裁判所では貸金業法43条の適用を認めて貰うことが難しいために裁判を回避する側面があると指摘されています。

手形小切手制度の悪用

商工ローンでは、借主が手形小切手を担保にとられていることが多いです。経営者にとって手形小切手の不渡りは死刑宣告にも等しいのです。 このため、中小企業者がいったん手形小切手を担保に商工ローンから借入を行うと、不渡りを出さないように利息制限法に違反する高利を毎月支払いながらジャンプを繰り返すという状態から抜け出せなくなっているのです。

また、大手商工ローンの中には、私製の手形容姿を借主・保証人に作成させて、多数の手形訴訟を提起しているものもありました。

その他の制度の悪用

商工ローンは、借主・保証人の給料等に対する差押え・仮差押えの法的手続きを極めて早い時期に着手する傾向があります。しかも、たとえ利息制限法上過払いであっても差押え・仮差押えをすることがあります。 また、民事訴訟法54条は、簡易裁判所を除いて訴訟代理人の資格を弁護士に限定しているが、商工ローンは社員を支配人にして登記することにより同条の制限を逃れようとします。



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