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任意整理で和解する際に注するポイントとは?和解契約書のチェック事項


任意整理のメリットは柔軟な解決が可能であるということです。それ故に債務者に不利なものと債務者に有利なものを組み合わせることで債務者の利益を確保する方法も考えられます。

ただし柔軟な解決が可能ということは、その裏返しとして債権者(貸金業者)が有利な条件を引き出そうとして、あれこれ注文をつけてくることも多いのです。

したがって貸金業者に有利な合意になっていないか債務者側もチェックをする必要があります。弁護士に任せきりになっているかと思いますが交渉の内容を理解してチェックしてみましょう。なぜなら、弁護士に任せきりにしていると、本来依頼者が希望している内容とはかけ離れた和解さえまとまれば良いという内容となりかねないからです。弁護士の中には利益最優先で業務をこなすという考え方の人がいるので、成功報酬は和解契約書が結ばれないと得られないという点からも、強引な和解に持ち込んでいないか依頼者側で最低限チェック必要があります。

和解契約書の内容に関する具体的留意点

①元本の減額をまず求めること。特に一括弁済に留意しましょう。利息制限法引き直しの残額をそのまま元本とするのは不利益になります。家族や知人から一時的に一括弁済金を用意してもらえるなら、元本の減額に債権者が応じてくれることが多いです。なぜなら、分割払いによる和解契約が必ずしも最後まで実行されるという保証が無いので、債権者にとっては3割程度の減額をして一括弁済してもらい、自ら運用すれば3年間で減額した分以上の利益を出せる可能性が高いからです。

②できるだけ分割払いにして債務者自身が履行できるようにすること。分割の回数について3年(36回)程度までの分割までしか譲歩しないことが多いが、返済額が大きくなるようなら長期の分割払いで和解するべきです。債権者にとっては、任意整理交渉を行う時点で既に当初の契約を守れていないという判断をしているので、また3年を上回る分割払いとしても失業や病気リスクが高くなるために返済不能に陥ると懸念します。実際には5年(60回)払いに応じる債権者はあるので、現在の仕事に対する安定性と収入保障保険への加入についても分割払い回数を増やす交渉材料となります。

③遅延損害金と将来利息をつけないこと。経過利息については交渉結果によるものの、しっかり交渉した結果として債権者へ譲歩したものなのか、最初から経過利息免除を交渉していないのか確認しなければなりません。和解契約書について弁護士に言われるままサインすることなく、弁護士が本当にどのような和解交渉を行ったのか確認する部分です。

④過怠約款(かたいやっかん)を付ける場合は債務者に不利益にならないようにする。分割金の支払いを怠った場合、何回あるいは何万円滞ったら期限の利益を失い一括弁済しなければならないとの条項を求められることがあります。通常1回の遅延で期限の利益を喪失しないよう、過怠が2回以上あるいは滞納額が2回分以上で期限の利益を喪失するという約定に落ち着くことが多いです。

⑤公正証書作成など債権者に有利な担保提供を行わないこと。公正証書が作成されてしまうと、和解契約に基づく返済中に病気や怪我といった理由から一時的に返済が滞るだけで、裁判所の判断を介さずにすぐに差し押さえが行われてしまうからです。

⑥管轄の合意をしないこと。和解による分割金の履行を怠った場合の訴訟提起につき債権者に有利な合意の管轄を行おうとする者もいます。例えば全ての裁判所を管轄裁判にするとか、訴額に関わらずに営業所在地の簡易裁判所に専属的合意管轄を認めるといった条項です。和解契約履行中であっても、仕事の都合で転居を行うことが誰にでも起こり得ます。その際に旧住所地で裁判を起こされてしまうと、交通費だけでも債務者にとっては大きな負担となりかねません。

⑦清算条項を忘れないこと。本条項に定める他、両者間には何ら債権債務もないことを相互に確認するとのいわゆる清算条項を必ず入れます。なぜなら、任意整理によって和解契約が成立した後で、実は他にも債務が見つかったり損害賠償が残っていたりするという主張を債権者が行うことを予め封じることが可能だからです。

⑧取引開始時期の記載をすること。和解契約書中に取引開始時期を記載させて後日これと違う証拠が発見された場合に和解契約の効力を争えるようにしておくのが大事です。債権者から示された取引開始時期が更に前だった場合、後から過払い金が見つかることがあるので、過払い金請求訴訟提起を起こせる余地を残すためです。

⑨代理人が任務を終了し代理業務から離れた後、債務者が貸金業者から請求されることがないように、証書の返却、完済証明書の受領は忘れない。

⑩合意書の取り交わし日付は第一回の支払期日との間に時間的間隔を空けるようにすべきです。合意書の取り交わしには双方の決め、押印して郵送する等取り交わしに時間が掛かるため。



 

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