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自己破産したら子供名義の預金や学資保険も解約しなければならないの?


【質問】私は子供が生まれてまもなく将来の進学の為に、子供名義でわずかですが月々積立預金と学資保険の積立てをしてきました。自己破産するとこの預金や学資保険を解約して裁判所に提出しなければならないのでしょうか?


【答え】 親御さんの自己破産手続きにあたって、お子さんの名義の預金や学資保険は解約する必要はありません。これらのものは法律的にいえば贈与にあたり、お子さんの固有財産です。 ただ破産申し立てにあたって自分の預金などを子供の名義に変更して預金にしたり、自己破産前に急いで学資保険に加入したりすると「財産の隠蔽行為」となり「免責不許可事由」となって免責許可が貰えなくなったり罰せられたりします。 ですから自己破産手続きの前後でなく将来の計画的に行われた、子供さんへの贈与でしたら何の問題もないということです。

免責不許可事由とは

免責不許可事由についてさらに詳しく説明します。 免責不許可事由がない場合は免責許可の決定がなされます。また免責不許可事由がある場合でも、破産手続き開始の決定に至った経緯、その他いっさいの事情を考慮して免責を許可することが相当であると認められるときは、裁判所の裁量により免責許可の決定がなされる場合もあります。

破産法で定められている免責不許可事由は以下の通りです。

①債権者を害する目的で、破産財団に属し、または属すべき財産の隠匿、損壊、債権者に不利益な処分その他の破産財団の価値を不当に減少させる行為をしたこと。

②破産手続の開始を遅延させる目的で、著しく不利益な条件で債務を負担し、または信用取引により商品を買い入れてこれを著しく不利益な条件で処分したこと。

③特定の債権者に対する債務について、当該債権者に特別の利益を与える目的または他の債権者を害する目的で、担保の供与または債務の消滅に関する行為であって、債務者の義務に属せず、またはその方法もくしは時期が債務者の義務に属しないものをしたこと。

浪費または賭博その他の射倖行為をしたことによって著しく財産を減少させ、または過大な債務を負担したこと。

⑤破産手続開始の申立があった日の1年前の日から破産手続開始の決定があった日までの間に、破産手続開始の原因となる事実があることを知りながら、当該事実がないと信じさせるため、詐術を用いて信用取引により財産を取得したこと。

⑥業務および財産の状況に関する帳簿、書類その他の物件を隠滅し、偽造し、または変造したこと。

⑦虚偽の債権者名簿を提出したこと。

⑧破産手続において裁判所が行う調査において、説明を拒み、または虚偽の説明をしたこと。

⑨不正の手段により、破産管財人、保全管理人、破産管財人代理または保全管理代理人の職務を妨害したこと。

⑩次のイからハまでに掲げる事由のいずれかがある場合において、それぞれイからハまでに定める日から7年以内に免責許可の申立があったこと。

イ 免責許可の決定が確定した場合は、当該免責許可の決定の確定の日
ロ 給与所得者等再生における再生計画が遂行された場合は、当該再生計画認可の決定の確定の日。
ハ ハードシップ免責の決定が確定した場合は、当該免責の決定に係わる再生計画認可の決定の確定の日

⑪破産者の説明義務、破産者の重要財産開示義務、または免責不許可事由の有無等についての裁判所または破産管財人の行う調査に対する協力義務その他破産法に定める義務に違反したこと。


子供名義の財産は自己破産手続きにより原則として没収されない

自己破産の申し立て準備段階で弁護士に依頼していれば、子供名義の財産について裁判所への届け出有無を判断してくれます。学資保険については、自己破産を行うことと無関係に子供が小さな頃からコツコツ積立を行っていたものであれば、資本主義を採用する日本では名義人の資産という扱いになるので自己破産を行っても子供の資産として影響を受けません。しかし、念のために子供名義の預金口座についてはコピーの提出を求められる場合があると知っておく必要があります。主なポイントとなるのは、次の2点です。

①自己破産を行う本人から子供名義の預金口座へ多額の振込がある
②子供名義の預金残高が20万円以上に達している

上記2点のどちらにも該当しない場合は、子供が自らお小遣いやお年玉をコツコツ溜めているものとして認められるので、親の財産とは全く別物として考えてもらえます。一方、学資保険については子供のために親がコツコツと積立をしているものですから、本来ならば親の財産と考えられても不思議ではないと思うかもしれません。しかし、学資保険は子供の教育費用として使うために長年積み立てたものであって、名義人である子供の私有財産という扱いになります。親が自己破産を行ったとしても、子供名義で長年積み立てている学資保険まで債権者に配当されることはありません。

本人と子供のどちらの財産となるのか目安は自己破産手続き2年前

本人と子供のどちらの財産となるのか判断が難しい場合には、預金口座のコピー提出が過去2年分と自己破産時には決められているので、2年以内に本人と子供の預金口座間でどのような取引があったのか確認されます。裁判所による判断が行われた上で、資産隠しとみなされてしまうと裁判所に没収された上に破産管財事件として扱われて、当面の家計チェックが厳しく行われることになりかねません。子供名義の預金口座が20万円以上の残高になっていると、同じく資産扱いされてしまうので、子供が自ら貯蓄したものでは無い限り裁判所の判断に委ねられます。

親と子供の間で贈与が行われた場合には、年間110万円以上となった場合に贈与税が掛かります。贈与税を納めてまで子供名義の預金口座へ親の口座から資金移動していた場合には、資産隠しと見做されて破産財団に没収される可能性があります。学資保険とは異なり、子供名義の預金口座は手軽に資金移動が出来てしまうという点が問題です。自己破産申し立て手続きを行う2年前の間に、資金移動を行っていないか弁護士へ事前チェックしてもらうと良いでしょう。

現金と預金債権ではそもそもの考え方が異なる

自己破産申し立てを行った時に、現金ならば99万円迄は没収されませんが、預金口座は20万円以上あると破産管財事件として破産管財人に没収されてしまいます。なぜなら、現金は自由財産という扱いになりますが、銀行口座の残高は預金債権という資産扱いとなるからです。預金債権の中でも20万円以上の残高に対してのみ資産扱いとされる理由として、自己破産を行った時に20万円以上の資産を持てないことになっていますが、破産管財人の報酬が20万円となるからです。20万円未満の預金債権に対して20万円の破産管財人報酬を予納金として払って処理することは意味がありません。

子供名義の預金残高が20万円以上ある場合には、厳しい裁判所の場合に親の共有資産として扱われてしまうリスクがあります。弁護士とよく相談した上で、過去の取引明細を全て念のために銀行から取り寄せておくと良いでしょう。



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