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商品先物取引失敗は破産管財事件なら免責決定を受けられる可能性がある


Bさん(当時50歳)は一流商社の部長でしたが、商品先物取引に手を出して失敗し、この損害を埋めるため信販・クレジット会社や消費者金融数十社から借金をしたため、負債もみるみるうちに雪だるま式に膨らんでしまったのです。

勤務先の会社にまで債権者が取り立てに来るようになったため、ついに長年勤務していた商社を退社せざるをえなくなってしまいました。Bさんは当時の時価で1600万円相当のマンションを所有していましたが、これを売却しても、とても債務を返済できなくなったため、弁護士に相談し、自己破産の申立てをすることにしたのです。

Bさんは東京地方裁判所に破産申立てをして、3ヶ月後に破産審尋が行われ、6日後に破産宣告がなされました。Bさんには不動産があったので、破産管財人が選任されました。自宅マンションは破産管財人の手によって処分され、抵当権者に支払われた残りの代金は債権者に配当され、破産手続きは2年後に終結しました。Bさんの破産申立ての予納金は80万円、免責申立ての予納金はいりませんでした。

Bさんは現在新しい会社に就職し、第二の人生を歩んでいます。

商品先物取引でも自己破産を行うメリットはある

商品先物に限らず株式やFXでも債務整理をする方が増えています。 自己資金を溶かすのであれば生活に支障が無い限り問題はありませんが、原資が消費者金融から調達した資金であると延滞利息など多額の負債が重くのしかかってきます。

こういった投資の借金は自己破産の免責が下りないという噂もありますが、実際は問題なく免責が下りるケースが多いです。 支払いができなくなれば督促が激しくなりますので、なるべく早いうちに弁護士に相談して債務整理の道を選択してください。 投資の損失は投資で取り返したい気持ちはあると思いますが、まずは生活を建て直すのが先決です。

商品先物取引は射幸行為に当たるという裁判所の判断が前提

自己破産を行う際には、破産法の規定によりやむを得ない理由による借金に限り破産免責決定を受けられます。なぜなら、債権者にとっては自らが貸したお金の大半が返済されずに、破産免責決定により返済免除とされてしまう理不尽を受けるからです。債権者にかける迷惑が大きいからこそ、破産免責決定を本来ならば慎重に出さなければなりません。このため、破産法第252条1項4号では、「浪費又は賭博その他の射幸行為をしたことによって著しく財産を減少させ、又は過大な債務を負担したこと。」という破産免責不許可事由を設けているわけです。

商品先物取引は、射幸行為に当たるという考え方を裁判所では行っていますが、なぜでしょうか。商品先物取引は、実際の商品を売買しているために仕入れ行為に近いと考える人が多いでしょう。実際に原油や農産物の中には、自分の会社で輸入価格を安定させるために商品先物取引をしている人が少なくありません。しかし、商品先物取引には、ギャンブルと同じハイリスク・ハイリターンを狙える証拠金取引という仕組みが備わっています。

証拠金取引という部分が射幸行為に該当するために、自らの資金以上の取引が出来てしまうわけです。商品先物取引では、証拠金として実際の販売価格に対して数%の証拠金を商品先物取引会社に預けて、手持ち資金を上回る商品を取引します。実際に手元に商品が届くことは無く、○月切りという期限前に売却完了すれば単なる取引を行っただけに過ぎません。商品先物取引で多くの利益を挙げられる理由は、FXでいう倍率と同じ考え方であって、手持ちの資金以上の金額で取引を行っているからです。このため、損失が発生する時には同じく激しい勢いで損失が出てしまうので、手持ちの証拠金では不足する際にまだ商品を持ち続けたい時に証拠金積み増しをしなければなりません。証拠金積み増しを行う時に、消費者金融や信販会社のカードローンが利用されるわけです。

2度と商品先物取引に手を出さないという申し出が必要

自己破産の申し立てを行う際には、借金を作ってしまった原因を2度と繰り返さないことを誓う陳述書が求められます。東京地方裁判所のように本人が作成した陳述書を別途提出させる裁判所では、弁護士が作成した申立書類と共に本人の陳述書を申し立てることにより、裁判官による裁量免責を引き出す狙いがあるわけです。

破産免責不許可事由に該当する借金理由であっても、既に破産申し立て時点で原因となる行為を破棄した上で、2度と同じ過ちを冒さないという考えでいれば、裁判官の判断により裁量免責を受けられます。投資を行った結果として、投下した資金以上の損失が出る取引には手を出さないことが約束出来れば、今回に限り裁判官による破産免責決定を出しましょうという流れで自己破産手続きは進みます。

しかし、債権者からの不満にも考慮する必要があるので、裁判官による裁量免責を行う場合には、少額破産管財事件として破産管財人による家計簿チェックを受け入れなければなりません。実際に破産免責決定を受けるまでに1年以上掛かることもあるので、商品先物取引に手を出して自己破産する際には、破産管財人報酬に充てられる最低20万円の予納金が別途必要です。

投資とギャンブルは類似性がある

投資とギャンブルは、自らの判断次第で投下した資金を全て紙くず同然にしてしまうものの、予想が当たれば何倍にもなって跳ね返るという射幸心を煽る行為となります。予想がハズレた時に、「負けた分を取り戻さなければ」という考え方をしていると、すぐに投資やギャンブルにのめり込んでしまうでしょう。1度始めたら思わぬ利益が得られた時にもう1度同じ思いをしたいと考えてしまい、負けた時に次々と後先考えずに投資をしてしまう点が問題です。

1度始めたらやめられないという点が、射幸行為に該当するとして自己責任の範囲だから免責不許可事由としています。自己破産申し立てをする際には、あくまでも今回だけは裁判官の裁量免責を受けられただけであって、本来ならば自己破産は出来ても破産免責決定は受けられなかった筈だと思うことが時には必要です。



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