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自己破産する前の離婚は財産分与方法とその後の経過が注目される


離婚に伴う財産分与とは、婚姻期間中に夫婦で築いた財産を清算する行為です。夫が多額の負債を負っているにも関わらずに、積極財産だけに着目して財産分与をするのは債権者に対する詐害行為(債務者が自己の財産を減少させる行為)となる可能性があります。

まして、離婚後も夫婦が同居し生計を共にしているなど離婚が偽装であったならば、債権者から財産分与された不動産持ち分に対し処分禁止の仮処分が申し立てられる可能性があります。では、どのような場合に詐害行為と見做されてしまうのでしょうか。

離婚原因が借金ならば共有財産について明確な財産分与が必要になる

個人財産と共有財産は、婚姻前の財産及び相続財産が個人財産であって、婚姻期間中に稼いだ収入は共有財産という扱いとなります。財産には、貯蓄や債権といったプラスの積極財産だけでなく、借金を始めとする負の財産もあるわけです。協議離婚を行うためには、夫婦間で合意に至れば確かに自由な離婚が出来るものの、配偶者に負債が引き継がれず積極財産のみが移転されることは、債権者から詐害行為があると指摘される可能性があります。

明確な財産分与を行っておけば、後に自己破産を行っても詐害行為があったとは認められないので、協議離婚を避けて時間は多少掛かっても裁判所を通した離婚調停という形式を取る必要があります。離婚原因と慰謝料請求により、裁判所を介した離婚調停による離婚ならば、自己破産前に離婚していても公平な内容であったと認められます。自己破産を行う際に、過去2年以内に行った離婚内容について裁判所だけでなく詐害行為を疑う債権者からも意見聴取時に指摘されることが少なくありません。指摘されてもすぐに対処出来るように、本来ならば離婚から2年以上経過してから自己破産申し立てを行うことが望ましいですが、そこまで時間的余裕が無ければ離婚調停を行って裁判所に記録を残しておくことが望ましいです。

登記名義の移転行為は偽装離婚を疑われる原因

自己破産申し立て前の離婚相談ケースとして、夫婦間の2000万円非課税贈与があります。20年以上連れ添った夫婦に対して、居住用財産を贈与しても相続税評価額2000万円までは贈与税は課さないとする制度を利用して、登記名義を移転して、債権者の追求を逃れようとするものです。

これらのように事後の事態を想定せずに「不動産だけは守りたい」という思いから登記名義だけを変更する行為はいたずらに法律関係を複雑にさせるだけで、債務者に取っては何のメリットもありません。離婚を行った後も、継続的に元配偶者同士に付き合いがあり、同居が行われていると認められる場合には、偽装離婚による詐害行為だと債権者に主張されてしまいます。一度詐害行為を疑われると、明確にすぐ否定出来る証拠が無ければ厳しいので、本来ならば破産同時廃止事件で済む所が破産管財事件として最終的に不動産を没収される事態となりかねません。

離婚原因が誰の目にも分かる形であれば疑いが起きない

自己破産を行う原因として、離婚が原因となることが一部ではあります。なぜなら、離婚時に元配偶者から求められた慰謝料額と養育費の金額が余りにも膨大過ぎて、借金返済を行うと生活が成り立たない水準の場合があるからです。この際には、自己破産を申し立てる本人が、離婚時の取り決め内容自体を問題とするために、敢えて破産管財事件として処理されるように弁護士に申し立て書類作成を依頼することがあります。配偶者から求められた離婚調停や裁判により、多額の損害賠償金と養育費を求められたことが原因で生活が破綻し、借金返済が出来ない状態になったことを理由として自己破産を行うわけです。一見すると損害賠償金と養育費は非破産免責債権となるので意味が無いように思われますが、膨大な損害賠償金と高すぎる養育費支払いが無ければ、借金返済が出来る状態だった場合もあります。

離婚原因には様々なものがありますが、中には元配偶者の浪費が原因と考えられることもあるので、その時に作られた借金であれば財産分与が行われた内容を精査した上で、破産管財事件としての処理を行えます。自己破産の直前に行われた離婚に伴う財産分与は、離婚調停や離婚裁判中は冷静に判断出来なかったことであっても、自己破産申し立て準備期間中に冷静になれることがあるわけです。

破産免責不許可事由に該当していても、裁判官による裁量免責を訴えることが出来て、同時に離婚時に行われた財産分与について冷静に見直しを行えるならば、利用しない手はありません。自己破産直前の離婚については、元夫婦が共謀して財産隠しを行ったケースが一般的ですが、破産管財事件とすることで過去の財産分与についても見直しを求めることが出来る手段にもなり得ます。なぜなら、裁判所は全てを正直に申告した上で自己破産申し立てを行う本人に対しては、寛容な姿勢を示した上で裁量免責を与えてくれることがあるからです。自己破産申し立て者にとって、生活を再建出来なければ自己破産宣告を受けても意味がありません。自己破産を申し立てなければならない事情や経緯を理解した上で、今後の生活再建のためにどのうよな判断が望ましいか、裁判所が公平な判断を行うことになります。



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