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配偶者(夫)の過払い金返還請求を代位行使出来ないの?原則と例外を押さえておこう


配偶者に多額の借金があることが発覚すれば、夫婦間で共有財産を築かなければならないにも関わらず、勝手に負債を築いていたものとして離婚を決意する人も多いでしょう。しかし、多額の借金がかつてあった場合や、2010年以前からの長い借金だった場合には、かつてのグレーゾーン金利により過払い金請求出来る可能性があります。

貸金業者に対して配偶者が全取引履歴開示請求を行うことは難しい

過払い金請求を行うためには、いくら過払い金が存在しているのか金利引き直し計算により明らかにしなければなりません。なぜなら、過払い金請求訴訟を提起する根拠として民法第703条に基づく不当利得返還請求は、原告に立証責任があるからです。しかし、貸金業者に対して全取引履歴開示請求を行っても、本人または本人から委任された弁護士や司法書士以外には原則として開示請求が行われていません。

例外的に認められているのは、成年後見人制度により本人の認知力が低下している場合といった法律上の後見人に依頼されている場合に限ります。配偶者であっても本人以外に借金返済義務が無いことと同様、本人以外に対して取引履歴を開示することは行われていないわけです。このため、どうしても配偶者が過払い金請求をしなければならない場合には、配偶者に対して債権を持っている場合に限られます。

原則として本人しか代理人への委任が出来ない

過払い金返還請求は、配偶者である本人が拒否している場合には、原則として代理人への委任が本人にしか出来ないために弁護士も依頼を受けてもらえません。日常家事債務ならば配偶者であっても代理人となれますが、金銭消費貸借契約や過払い金返還請求は、本人にのみ認められている権利ですから日常家事債務の範囲外です。

また、過払い金返還請求訴訟の代理人となるためには、簡易裁判所に対してのみ本人からの委任状があればなれますが、地方裁判所以上で代理人となれるのは弁護士に限られています。このため、弁護士に委任するためには弁護士と本人が面談した上で委任契約を結ぶ必要があり、配偶者が委任契約に同席する程度しか出来ません。配偶者と弁護士が一緒に本人を説得することは出来るものの、あくまでも本人が過払い金返還請求を拒否した場合にはそもそも委任契約自体が成立しないので厳しいでしょう。このため、原則として本人以外が弁護士を代理人として委任出来ないことになります。

財産分与請求権ないし慰謝料請求権があれば例外的に代位請求権を行使可能

全てのケースで配偶者の過払い金返還請求を代位請求出来ないとすると、不都合が生じる場合のみ例外的に代位請求権が認められることがあります。よくある例としては、借金を離婚理由として離婚調停を申し立てて離婚が成立する際に、財産分与請求権または慰謝料請求権を持つ配偶者が過払い金返還請求を代位請求する場合ならば認められます。なぜなら、配偶者本人に対する債権を持っていることになるので、債権に基づき本人の財産を取り戻すために過払い金返還請求を行うために代位請求権を行使するからです。このため、婚姻が継続していて離婚慰謝料や財産分与請求権が発生しない場合には、配偶者であっても代位請求権の行使が出来ないことになります。あくまでも配偶者に対して請求権を持っている場合のみ、例外的に代位請求権が行使出来るに過ぎません。

完済済みの借金があったならチャレンジしてみる価値がある

財産分与請求権または慰謝料請求権を持つ配偶者であっても、過払い金返還請求を行うためには訴訟提起による以外、貸金業者は本人からの請求では無いために相手にしないことが多いです。そこで、過払い金返還請求訴訟を代理人弁護士に依頼して行うことで、弁護士経由で請求することが可能です。

しかし、弁護士としても完済済みの借金といった確実に過払い金が発生している場合以外は、確実性が無いために配偶者の代位請求権に基づく過払い金返還請求訴訟提起を行ってもらえません。もし過払い金請求訴訟を提起した結果として、過払い金自体が存在しなかった場合には、弁護士としての責任を問われることがあるからです。弁護士は弁護士会に所属しているので、しっかりした調査に基づく訴訟提起以外は懲戒請求の対象となってしまいます。リスクが高すぎる依頼を受ける弁護士が少ないからこそ、配偶者が持つ代位請求権を理由とした過払い金請求訴訟は受けてくれません。



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