債務整理の相談をされる人の中には「もう債務を一本化してしまったのだけれど」とか「債務の一本化を考えているのだけど」という方がいます。 また、銀行や信販会社などの中にも「おまとめローン」なる商品をアピールしているところがあります。しかし、発想の転換を行えば実はおまとめローンを組み直した直後は債務整理を行う上で過払い金請求にとって絶好の機会だと分かります。
おまとめローンは借り換え前提で行うから過払い金請求のチャンス
すでに「債務の一本化」をしてしまった方の場合、返済してしまった債務については、完済した状態であり、一本化した債務については、新たな借入をした状態になっています。ですから、旧債務について、利息制限法違反の金利を支払っていて完済(一本化)した場合、間違いなく過払い金が生じています。この過払い金を回収して、弁護士費用に充てて、新債務または他の債務について債務整理をすることが可能です。
つまり債務を一本化した直後は、弁護士に債務整理を相談する絶好のチャンスとなります。銀行などで「おまとめローン」を組んで、サラ金の債務を返済してしまった直後などは、過払い金請求を行うタイミングとして適しているわけです。完済済みとなったサラ金から過払い金を回収して、弁護士費用にあてて銀行からの借入については自己破産する、任意整理する、個人再生の申立てをする、といった選択肢があるわけです。借り換え直後に自己破産を行うことは、詐欺に該当してしまう可能性があるので、弁護士と相談した上で先に過払い金請求訴訟を旧債務については行ってから、1年後程度に自己破産・個人再生・任意整理の中から必要に応じて手続きをすれば良いわけです。
逆にいうと、「おまとめローン」というものは、ビジネスとしては成り立たない、非常に危険なものなのです。 そもそも、債務の肩代わりとは、極めてリスキーなものです。
債務の一本化直後が過払い金返還請求の好機となる理由を知ろう
過払い金返還請求は、最終取引日から10年間という消滅時効がありますが、おまとめローンを利用する際に借り換えるので、旧債務は完済状態かつ消滅時効は10年先と考えられます。そこで、旧債務については過去のグレーゾーン金利時代からの借入があれば、全取引履歴開示請求と金利引き直し計算により、必要な金額を裁判で勝ち取ると良いでしょう。完済を行った結果として、個人信用情報機関へ登録される内容は、あくまでも完済という表記と新規契約に伴う借入契約が行われた事実のみです。おまとめローンを継続して返済出来るかどうか1年程度様子見をしておく方法があります。どうしても返済が無理になってきた時に、改めて債務整理を行うかどうか弁護士と相談しながらタイミングを見計らえば良いわけです。
弁護士にとっては、過払い金返還請求訴訟で稼がせてもらった上で、債務整理に着手出来れば弁護士報酬をしっかり受け取ることが出来ます。借り換えたローンについては、返済が厳しくなった時点で任意整理から着手開始し、個人再生または自己破産により手続きを完了させます。旧債務と債務の一本化をしたおまとめローンは、別の債務として個人信用情報機関には登録されているので、過払い金請求訴訟が終わった後で地道に返済を行うか債務整理に踏み切るか慎重な判断が求められます。実際に債務整理に着手してから申し立てを行うまでに半年程度かかるのて、債務整理を行う予定があるならば過払い金請求訴訟に勝訴して入金されたお金を次の債務整理を行うために用意しておくと良いでしょう。
過払い金請求は消滅時効の問題さえクリアになれば手軽に行える
過払い金請求は、最終取引日から10年が経過すれば消滅時効により請求出来なくなる特徴を持っています。現在は完済していても、過去に借入がある場合には完済日から10年経過する前に過払い金請求訴訟を提起する必要があるわけです。おまとめローンの審査に通り借り換えが出来た直後ならば、消滅時効を気にせずに過払い金請求訴訟を起こせます。2010年よりも前から契約が続いているカードローンならば、過去のグレーゾーン金利が適用されていた時期から引き継いでいる取引履歴ほど、多額の過払い金が含まれていると分かります。正確な過払い金の額は、債務調査を弁護士に依頼することで全取引履歴開示請求により判明するでしょう。
借り換えを行ったカードローンは、返済専用のカードローンとして考えられるので、新たな借入が必ずしも出来るとは限りません。銀行カードローンの中には、おまとめローンとしての働きを想定しているものの利用限度額が大きなカードローンに過ぎない金融商品もあります。しかし、消費者金融や信販会社が行っているおまとめローンは、総量規制の例外として年収の1/3を上回る金額であっても借入が可能です。銀行カードローンならば最初から総量規制の影響がありません。おまとめローンへの借り換えを行った直後は、弁護士への債務整理相談と旧債務に対してのみ過払い金請求訴訟の提起を並行して行います。
過払い金返還請求により得られたお金は、弁護士費用として使用するならば、後に行われる個人再生手続きや自己破産を行う時の原資です。偏頗弁済を防いで債権者平等の原則をしっかり守ろうという気迫を感じます。1年程度様子見を行った上で、弁護士と再度面談を行い債務整理に着手するかどうかも確認しながら進めると良いでしょう。任意整理で済む状態ならば、おまとめローンの低金利により返済に目処がつきやすくなるかもしれません。おまとめローンは、当初の目的である借り換えによる一本化を実現するだけでなく、旧債務への過払い金返還請求訴訟を提起しやすくする役割を持っています。