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多額の借金を抱えている人の中には、貸金業者や知り合いなどから借金を積み重ねたことで返済不能となり、自己破産や個人再生などの債務整理を図る人が毎年少なくありません。
今回は『公正証書を取られている場合でも債務整理できますか?』についてまとめたいと思います。
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自己破産による免責
裁判所に自己破産を申立てて自己破産が認められると、貸金業者からの借金だけではなく、勤務先からの借金や親戚からの借金など、すべての借金が「免責」の対象になります。つまり、借金を返済する責任が法的に免除されるということです。
公正証書を作成した借金
貸金業者からの借金はともかく、知人などから借金をする場合、返済に対して必ず責任を負うという意味や、相手からの要請により、借用書を「公正証書」でもって作成することがあります。公正証書とは、公証役場で作成する書類のことであり、裁判所で下される確定判決と同様の効力を持つ公的文書のことです。
なお、公正証書には確定判決と同様の効力が付されていますが、どんな公正証書でも支払いが滞った場合に、すぐに強制執行ができるとは限りません。即座の強制執行の可能な公正証書は、「強制執行認諾約款付き公正証書」だけです。要するに、公正証書の作成時において、返済を滞納した場合は強制執行による即座の差押えの実施に対し、債務者が承諾していなければなりません。この約款がないと、例え公正証書であったとしても、差押えの法的な強制力はありません。
仮に、強制執行認諾約款付き公正証書であった場合は、裁判所の命令を待つまでもなく、また裁判所への申立自体の必要が無く、即座に債務者の財産の差押えができます。例えば、債務者の給与を差押えたり、家や土地、車、高価な宝飾品、家具など、換金可能な物の回収が行われたりします。
公正証書がある場合の個人再生
公正証書を有する債権者であっても、個人再生の手続上は一般の再生債権者という扱いになりますので、他の債権者と同様に,再生計画の定めに従って借金を減らすことができます。個人再生手続では再生計画案が再生債権者の決議に付されますが、それは債権者に示した再生計画案に対して,債権額で過半数の債権者が反対するか、頭数で過半数の債権者が反対した場合には、再生計画案が否決されて、債務の減額(権利の変更)は得られないことになります。
また反対が債権額で半分以下、かつ債権者の頭数でも半分以下の場合(賛成しないことは反対に含まれません。)には、再生計画案が可決されたことになり再生計画に従って債権の内容が変更されることになります。それは債権者が公正証書や判決を持っていようが関係ありません。
公正証書がある場合の任意整理
任意整理は、債権者と直接交渉して、借金の返済額と返済方法を話し合うことで合意する手続きになるため、両者の合意さえあれば公正証書があっても手続きは可能です。
但し公正証書があるということで消費者金融業者などが、不利な条件での交渉に応じない可能性は十分にありますので、弁護士などに任せたほうが安心でしょう。任意整理の話し合い中に強制執行をかけてくる場合もあります。
公正証書の効力に優先する免責
自己破産の申立後、裁判所から自己破産の免責決定が下されると、破産手続き開始前に作成された公正証書は、例え強制執行認諾約款付きであったとしてもすべて無効となり、その時点で差押えが禁止されます。つまり、自己破産前に公正証書によって返済を約束したとしても、自己破産が認められると返済義務が消滅するということです。相手が貸金業者であっても個人であっても関係ありません。
自己破産は債務者の救済が目的
公正証書が無効になるとすると、公正証書を作成する意味が無くなるとも思えます。ただ、例えば貸金業者が裁判を起こし、債務者に対する差押えの判決が出たことで、その判決が絶対的効力を持ってしまうと、その後に債務者が自己破産をしても何にもならないことになります。それでは、多重債務者の救済という自己破産制度の目的が達成できません。
自己破産の制度は自己破産者が社会に復帰できることを趣旨としており、そのために免責を最優先とすることが原則とされています。
免責されない債務
なお、自己破産が認められたとしても、非免責債権と言って以下などの債務は免責されず、自己破産後も返済を続けなければなりません。公正証書の有無も関係ありません。
1.税金や健康保険料など
所得税や相続税、贈与税などの国税、市民税や固定資産税、事業税、自動車税などの地方税は、自己破産をしても免責されません。また、国民健康保険の保険料や国民年金の年金保険料も非免責債権です。
2.破産者が悪意で行った不法行為に基づく損害賠償請求権
悪意で加えた不法行為というのは、単なる故意ではなく「相手を傷つけてやろう」という積極的な加害意思がある場合に限られます。相手に暴力をふるったり、会社のお金を横領したりすることが該当します。
3.破産者が故意又は重大な過失によって与えた人の生命や身体を害する不法行為に基づく損害賠償請求権
無免許運転や飲酒運転による交通事故などが該当します。なお、単なるわき見運転の場合は重大な過失とは見做されないため、損害賠償は免責されます。
4.養育費や扶養料
自己破産をしたからといって親子・夫婦関係が無くなるわけではないため、養育費や扶養料の支払い義務は変わりません。
他にも、破産者が故意に債権者名簿に記載しなかった債務や法律上の罰金なども非免責債権です。