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多重債務者と精神疾患


自殺をする恐れのあるハイリスク者とは?

相談を受ける弁護士や司法書士の立場だけではなく、支える家族の対応も重要になるのではないでしょうか。特に経済問題における要因で最悪の状況になるのでしたら、早めの債務整理を視野に入れるべきだと思います。多重債務者の心理的な変化を見落とさずに、また精神疾患の対応などもまとめてみたいと思います。

①自殺未遂者ですが、既遂者の約75%が未遂経験者であるということです。

②うつ病などの気分障害と依存症(特にアルコール)が併存する場合も危険です。

③中高年男性の個人事業主で多重債務者など。中年男性は、なかなか人前で弱音をはかないので、世間体が悪いとか、 大黒柱としてしっかり家族を守らないといけない立場であるなど、弱音を見せること自体に強い抵抗感を持っています。殆どの場合、直ぐに本音を口にせずに相談現場でも、冷静かつ穏やかに見えます。しかし、そのように不安な表情を見せなかった相談者が、相談後に自殺した事例も報告されているので注意が必要です。

④自殺のサインを発している人。相談窓口に来るまでの過程で、相当悩んで、苦しみ抜いたのだと想像し対応することが重要です。相談に来るということは「生きたい」「助けてほしい」という気持ちの表れだということです。

相談者の「死にたいほどつらい」原因は、加重労働→鬱→解雇→生活苦→多重債務、といった場合もあれば、ギャンブルなどの依存症→家庭崩壊→離婚→生活苦→多重債務→鬱の場合、また経営不振→多重債務→鬱→生活苦の場合など、取り上げるときりがないくらいに様々な事例があります。つまり「死にたいほど辛い」原因は多重債務に限らない場合もあるということです。

様々な負荷要因が複雑に絡み合って追い込まれ、結果「自殺」に至っている現状の再認識が必要です。相談者が「死にたい」と口にしたときは、たとえば”死にたいほどつらいのですね”と、相手のつらい気持ちに寄り添った上で、”それほどつらいことは何ですか?”と聞いてほしいと思います。”死にたいなどと馬鹿な事を考えてはいけません。大切な家族のためにもがんばりましょう”などと励ますのは逆効果です。

メンタルヘルスでの注意点

①うつ病

うつ病は脳の機能的な問題が引き起こす疾患であり、生涯有病率は約15%といわれ、一生のうちに6-7人に1人は発症すると言われています。 うつ病の精神状態としては、睡眠障害、根気や集中力の低下、全身倦怠感、不安、イライラ、飲酒量の増加などがあげられます。 エネルギーが途絶えてしまったように、活気が失われた状態を示すこともあり、「気合いが足りない」「怠け者」と周囲の目に映ることもあります。 身体症状としては、頭痛、食欲低下、耳鳴、ふらつき、発汗、口内乾燥、肩こり、腰痛、動悸などがあり、様々な身体的症状を訴えるのが特徴的です。 睡眠障害は特徴的な症状で、睡眠の途中で何回も目が覚める、朝早く目が覚めてしまうなどが起こります。 また午前中に気分が塞ぎ込み、午後になると少し調子が良くなる等の症状も現れます。

食欲不振、体重減少、集中力低下、脱力感などの症状が2週間以上続いている場合は、うつ病の可能性を考える必要があるでしょう。 又うつ状態では、投げやりになったり、悲観的な結果を想像しやすく、冷静な決断を行うことができなくなります。 うつ病でないときには決して行わないような極端な決断をしてしまい、後で後悔することもあり得ます。 人生上の重要な決断に関与せざるを得ない場面は特に注意が必要です。

うつ病の合併症として不安障害があります。不安障害には突然の強い不安感、めまい、動悸、手足のしびれ、吐き気、息苦しさなどに襲われるパニック障害があり、 過呼吸や、急に黙り込むなどといった症状が現れることもあります。

②依存症

依存症の特徴は「その行動によって、医学的もしくは社会的に有害な事が起こっているにも関わらず、その行動を止めないこと」であり、 「自分でコントロールすることに失敗していること」です。 依存症の種類としては「物質依存」「プロセス依存(行為そのものへの依存)」「関係依存」があります。 「物質依存」にはアルコール依存や薬物依存、「プロセス依存」にはギャンブル依存、摂食障害や繰り返されるリストカット、「関係依存」には共依存、性依存などがあります。

飲酒やギャンブルなどの行為は、「気持ちが良い」「ストレス解消になる」「嫌なことから解放される」などの快感が伴いますが、 その快感を恒常的に求めるようになると、ちょっとした不快感があっても。「その物質を使いたい」「その行為をまたやりたい」という欲求が起きてくるようになります。

脳が自動的に物質や行為を求めるわけで、もはや本人の意思や精神力だけでコントロールできなくなってしまう。 例えば、パチンコ依存症の人は、パチンコをしない為にパチンコ店が目に入らないような道順で帰宅する。 彼らはその店に近づくだけで、胸の鼓動が高まり、しびれるような高揚感と不安感に襲われるのです。 こうなると家族や周囲の者が、どれだけ本人を監視したり、愛情を注いだりしても、それだけで改善することはありません。

依存症者は、いつも自分と闘っているが、自分が本当に自己コントロールを失っているという事態が信じられず、必死になって 「自分がまだ大丈夫であることの証拠」を探そうとします。」その中で、依存症者はますます頑固になり、周囲の意見に耳を貸さなくなり、 罪悪感からたくさんの嘘をつくようになってしまいます。

しかし、もっとも誰を一番だましているかといえば、間違いなく「自分」ということになります。 自分がまだまだ「大丈夫」と言い聞かせ、「これが最後の一杯」「これが最後の一回」と、それこそ何百回も嘘を繰り返すのです。 ずっとこうやって生きていくと、依存症的行動の無い自分のイメージが分からなくなり、頭でそれが正しいと分かっていることでも、行動に 移せなくなってしまいます。この恐れと自分に嘘をつく態度があいまって、いわゆる「否認」という特徴的な態度が現れます。 「否認」が強い人は、それだけ追いつめられているともいえます。 追いつめられ、自分が情けなくて「このうえ依存症であることを認めたら、それこそ本当のだめ人間」となってしまうと危惧して、 必死になってこれを否定している状態とも言えます。

相談現場においては、依存症者本人が、自分にとって都合のよいことだけを話す場合があるので注意が必要です。 特に多重債務相談では、家族が何度も尻拭いをしている事例もあり、中には、家族の尻拭いによって「過払い」になっている案件も 見受けられます。このような場合、単に債務整理をすればよいというわけにはいかなくなります。

専門機関や自助グループの連携がないままか払い金を取り戻すと、ギャンブル依存症である本人に「軍資金」が入り、 病気をさらに悪化させ、本人や家族を一層追いつめていくことになりかねません。 ギャンブル依存症が疑われる場合は、必ず専門機関や自助グループと連携しながら、債務整理の手続きをすすめるべきです。

③統合失調症

統合失調症の一般人口における出現頻度は約1%です。 うつ病と同じく、脳の機能的な問題を引き起こす疾患で、神経伝達物質の関係した病気で、幻覚や妄想、独語や空笑といった陽性症状や、感情が平板化し、 意欲が減退し、融通性、注意力、集中力が低下し、引きこもりがちになるなど陰性症状が出現します。

かつては精神分裂病と呼ばれていましたが、人格が損なわれているような誤解を与え、偏見を助長するなどの理由から現在の病名に変更されました。 統合失調症の治療は、たとえ精神症状があったとしても、病院や施設ではなく、可能な限り社会生活を継続しながら治療することが望ましく、 またその方が治療効果も上がることが立証されています。

統合失調症の治療の眼目は、「症状を改善する」ことと「社会的な適応力を高める」ことにあり、「症状を改善する」ために、薬物と心理社会的な 治療を組み合わせた治療を行いますが、症状や生活障害があっても実際の生活ができるように支援する「社会的な適応力を高める」治療や支援が 重視されるようになっています。

相談現場で統合失調症を心配した場合は、うつ病と同様、精神保健相談や医療機関の受診をすすめるべきです。 相談先や受診先としては、市町村の保険センター、保健所、精神科医療機関などが候補になります。 統合失調症の心配があって相談機関や医療機関の受診をすすめる場合は、うつ病と身体疾患とは異なる配慮が必要であることを注意しましょう。

統合失調症などのメンタルヘルスの問題を持つ人が法律専門家に相談するのはどういう場合でしょうか? パチンコなどによる債務超過、金銭、財産管理、権利譲渡などの実際の問題解決の支援を求めてくる場合、被害妄想から生じた「問題」の解決をはかる 法的手続きの依頼を求めてくる場合があります。



 

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