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任意売却と競売は状況により使い分け?どちらを選ぶか見極めるポイント


債務整理をする者が不動産を所有する場合、その不動産は選んだ債務整理方法により自動的に処理されると勘違いしている人が少なくありません。自己破産を選んだら、破産手続きの中で不動産の競売を必ず行うものと誤解されている方は多いのではないでしょうか。

自己破産手続きと不動産の競売は別物

自己破産手続きと不動産の競売手続きというのは、全く別の手続きになります。 自己破産をする際に不動産はどのように処理されるかということですが、通常は不動産の価値よりも、いわゆる住宅ローンの方が金額が大きい、オーバーローンの状態になっているという場合がほとんどです。なぜなら、オーバーローンとなっていない状況下なら、最初から任意売却して残りの住宅ローンと貸金債務を全て完済してしまうからです。任意売却しても住宅ローンがオーバーローンの場合であって、オーバーローンの程度が不動産価値の1.5倍以上である場合には、その不動産は財産価値がないということで裁判所は財産とみなさないということになります。

この場合には住宅ローン債権者が別個に競売の手続きをとるケースはありますが、破産の裁判所の手続きの中では、不動産の換価というのは進められず同時廃止ということで破産手続きは終わることになります。 不動産が別個に競売手続きが開始されて初めて競売不動産の処分ということになります。

自己破産申し立てが破産同時廃止なら任意売却という手もある

住宅ローンが担保に取られる場合に、競売を待つという場合もありますが、自ら任意売却という形で不動産を売却するという方法を取ることができます。法律上の規定はありませんが、慣習として任意売却では引っ越し代を出して貰うことができます。引っ越しするお金がないと任意売却できないということで、法律的に権利があるということではありませんが、引っ越し代相当額が支払われるのが慣例です。任意売却を専門に行なっている不動産業者がいるので、引っ越し代を出してもらえるならという条件を付けて任意売却をすれば、金融機関にとっても回収額が増えて良いと考えられます。

競売を選択するなら5ヶ月を目安に転居費用を貯めよう

競売の場合には、落札後に所有権移転登記が行われて強制的に追い出されるということです。任意売却の場合にはすぐに1ヶ月や2ヶ月での退去が予定されますが、競売の場合は半年程度の時間がかかる事を考えますと、まだしばらく住んでいたいと考える場合には、競売の方を選択する方が良いでしょう。なぜなら、自己破産申し立てを行って全てを清算する状況ならば、転居は変わらないのですぐに退去するかどうかの時間的な差で判断すれば良いからです。任意売却を行っても金融機関に売却額が渡るだけですから、引っ越し代を出してもらえるかどうかしかメリットがありません。

競売に入ってしまうと、通常住宅ローンの支払いはしませんので、例えば半年の間に家賃的なものを全く払う必要がありませんので、債務者の中には敢えて競売を選択する人もいるようです。自己破産申し立てを行いつつ、競売手続きを並行して進められている状況下ならば、弁護士費用の支払いと転居費用の合計額を頭に入れて日々の仕事に精を出せば、全ての返済から開放されている状況下では貯蓄という考え方が出来ます。気を緩めずに辛い督促の日々が無くなって、少し生活に余裕を見せても良いという程度にしておくと3ヶ月から5ヶ月程度で引っ越し代程度は貯蓄出来るでしょう。

この点で、任意売却がいいのか、競売がいいのか、というのは多様な法律的な問題も存在しますので、不動産をお持ちの方は弁護士の方に相談して決断するようにして下さい。

任意売却を選んだ方が良いケースとは

債務整理を行う過程で任意売却を選んだ方が良いケースは、次の2つのパターンがあります。

①引っ越し代を出してもらえたらすぐにでも退去して良いと考えている

失業状態のために暫くはアルバイト生活をしているならば、収入が現象しているために引っ越し代の工面を1~2ヶ月で行うことは非現実的です。そこで、引っ越し代を出してもらえるならすぐにでも転居して良いという考え方になれば、任意売却という選択は現実的です。転居先として選ぶ場所に拘りを持たずに、とりあえず転居できれば良いという妥協をした上で一旦転居します。少し生活を落ち着けてから再度本命の引っ越し先を探せば、自己破産した際の住所情報を基にしたヤミ金業者からの勧誘を受けることが無くなるでしょう。

②任意売却ならオーバーローンにそもそもなっていない

競売の落札価格は購入者が代金を一括払いしなければならないので、購入出来る人が一部に限られてしまうからこそ落札価格が低くなります。競売専門に落札を行っている不動産業者は、リフォームを行った上で転売をする目的が多いので、なるべく安く買い叩ければ良いという考え方をしているわけです。任意売却ならば、購入者が住宅ローンを組めるだけでなく、抵当権を設定している金融機関にとっても残債額を上回る金額で売却出来るなら全額回収出来るメリットがあります。任意売却交渉はあくまでも自由な金額設定が出来るので、競売落札予想価格と任意売却額の差が大きければ任意売却にメリットがあるでしょう。

競売を選んだ方が良いケースとは

自己破産を行いオーバーローンになっていて自己破産と同時に競売手続きが進む場合には、転居費用を稼ぎつつ自己破産手続きが進み破産免責決定が出る状況を待つための時間稼ぎになります。競売手続きは、目安として半年以上はかかると想定されるので、田舎ならば落札者が現れずに更に長い時間かかるかもしれません。落札者が現れるまでは、返済をせずにタダで住み続けることが出来るからこそ競売を選んだ方が得だと考えられる場合すらあります。

自己破産申し立てを行う際に、自宅がオーバーローンと認定される可能性が高ければ、破産同時廃止を事件として速やかに手続を進められます。破産免責決定が出るまでの間に転居先を確保した上で、転居費用を自分で工面出来るなら無理に手間を掛けて任意売却しなくても手元に自宅の売却益が入らないからこそ変わらないという考え方です。任意売却を行った際の引越し費用についても、転居後の後払いとなるために一旦自己負担が発生するなら同じという考え方もあります。なるべく手間をかけずに新生活を始める手段として考えた時には、自己破産と競売の同時進行は楽な手段と考えて良いでしょう。



 

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