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分別の利益とは?保証債務の履行は債権者の言いなりにならず冷静に保証範囲を確認しよう


分別の利益とは?

分別の利益とは、主債務者が返済すべき債務を履行出来ない時に、債権者から残債全額の履行を求められた時に、保証人の頭数で割った残債額のみ負担すれば良い保証人の負担範囲を決めた民法第427条と456条の規定です。債権者から主債務者が返済してくれないから保証契約に基づき代位弁済履行を迫られた時に、保証人の数が2人ならば残債額の1/2、保証人が3人いれば残債額の1/3のみを代位弁済し、残りは他の保証人へ請求するよう言える権利です。

債権者は主債務者から回収出来なければ保証人誰から回収しても良いので、回収しやすい保証人から代位弁済請求を始めます。分別の利益を主張しなければ、本来保証人が負担しなければならない金額を上回る代位弁済を債権者に騙されて行ってしまう可能性があるので注意しなければなりません。分別の利益は債権者から代位弁済請求があった時に主張出来ますが、少なくとも他の保証人について何人いるか知っておく必要があります。

分別の利益が問題になった日本学生支援機構の例

民法第427条と456条で定められた分別の利益は、法律知識がある人ならば保証人には適用されて連帯保証人には適用されないことを知っています。日本学生支援機構が学生向けに行っている奨学金制度は、大学入学時であっても未成年となる学生に対して、保証人と連帯保証人を2名付けた上で貸付を行うことが一般的です。

機関保証として保証会社を使用している場合には間違いが起きにくいですが、法律知識が必ずしもあるとは言えない家族や親族を保証人としている場合、2名付ける保証人のうち1名は連帯が付かない単なる保証人となっていることに気づかない可能性があります。実際に日本学生支援機構では、分別の利益を主張出来る保証人に対して説明せずに全額の代位弁済を求めていることが発覚して、問題となっているわけです。奨学金を借入する際に、私立大学では特に学費が高騰していることから、両親又は年上の親族のうち1名を連帯保証人とし、他にもう1名親族または知人を保証人として奨学金を受け付けています。

分別の利益が適用されない条件とは

分別の利益が適用されない条件を把握しておけば、最初から代位弁済時に分別の利益を主張して過払いとならずに済みます。実際に分別の利益を主張出来ない場合として、次の3点を理解しておくと良いでしょう。

①保証人債務が連帯保証債務となっている場合
②主債務が保証人の数で分けられない不可分債務である場合
③共同保証人間で連帯して主債務を保証する保証連帯となっている場合

金銭消費貸借契約の保証債務ならば、お金という形で分別出来ることから分別の利益を主張出来ます。しかし、具体的な行動を行う内容となった場合には、保証人間で分別して履行することが出来ないために分別の利益を主張出来ません。

保証債務は民法と商法で異なる運用がなされている

世の中の保証人が多くは連帯保証人となっていることは、商法上で保証人という場合には原則として連帯保証人を指しているからです。民法では原則として分別債権という別個の債権として債権者は取り扱わなければならないので、保証人同士は互いに保証内容について影響しあわないことになっています。

保証人としての義務は、債権者から主債務者が履行すべき債務の履行が無いために代位弁済をするように請求された時に、分別の利益を主張して保証債務の分担額のみを代位弁済した上で主債務者本人に対して求償権を行使すれば問題ありません。




 

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