違法年金担保融資とは?
年金担保融資は、独立行政法人福祉医療機構のみが唯一行える年金を担保とした貸付制度です。多くの貸金業者は、労働を伴う給与所得がある現役世代のみを対象として融資を行っているので、定年を迎えて年金受給者となって以降は借入が難しい状況が生まれています。独立行政法人福祉医療機構による年金担保貸付は、貸金業法により例外的に唯一認められている厚生年金保険、国民年金または労災年金の年金を担保とした融資制度です
貸金業法第20条の2に基づき、別途法律で認められた場合を除き個人の年金を受ける権利そのものに対する譲渡・差し押さえ・担保として差し出すことが禁止されています。また、令和4年3月末をもって年金担保融資制度に基づく新規貸付が停止されることが既に決まっており、令和4年4月以降は全ての年金担保貸付が違法年金担保融資に該当します。
年金受給者の年金証書・預金通帳・キャッシュカードは預けない
貸金業法第20条の2に定められた公的給付に対する規制は、正規の貸金業者が全て従わなければならない罰則付き規定として定められています。年金受給者の年金証書・預金通帳・キャッシュカード等を違法年金担保融資業者へ預けるように求めること自体が違法とされ、「1年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という罰則が貸金業法にあります。加えて貸金業者には行政処分が行われることになるので、正規の貸金業者が違法年金担保融資に手を染めると廃業の危機となりかねません。
このため、違法年金担保融資を行っている業者は、様々な手段を用いて年金受給者が年金担保融資を受ける手伝いをした上で、払い込まれる年金を回収しようと策を講じるわけです。少なくとも年金担保融資は、独立行政法人福祉医療機構のみが例話4年3月末まで唯一新規貸付を行えて、年金受取りを妨げることを一切しないと覚えておく必要があります。
偽装質屋は口座振替手続きで年金を回収しようとする
違法年金担保融資が問題視される最大の理由は、利息制限法で定められた上限金利を無視した違法な利息を求めることです。年齢的に働くことが難しいために年金を受給している人に対して、年金を事実上ピンはねする状態となる違法年金担保融資は、他に借入が出来ないという立場の弱さにつけこんだ手口となっています。貸金業者が守らなければならない利息制限法は、上限金利は借入額に応じて年率15%~20%です。しかし、質屋は質草と呼ばれる担保を預けることになっているので、質屋営業法により定められた上限金利は月利9%という違いがあります。
年利ではなく月利という点がポイントとなり、単純に12倍して年利に直すと年率108%という高金利となりかねません。質屋は基本的に3ヶ月以内の返済を行うことになっていて、延長を希望しない限り短期間での融資と担保付きという特徴から高金利が認められています。偽装質屋として違法年金担保融資を行っている業者は、返済方法として口座振替を求めているので、年金が振り込まれる2ヶ月に1回の割合で振り込まれた年金を強制的に口座振替する手口で年金を回収しようとします。
どうしても融資が必要な時はどうしたらよいのか
年金担保融資を利用する際には、独立行政法人福祉医療機構のみが貸付を行えるという点を理解した上で、申込みに際して第3者の介入を許さないことが求められます。偽装質屋や年金担保融資の申込みに付き添いするという手口で違法年金担保融資業者が暗躍していることから、平成22年12月の閣議決定により令和4年3月末をもって新規貸付を廃止することになりました。
以後は代替制度として、社会福祉協議会が行っている生活福祉資金貸付制度を利用すれば、一定の条件と面談・審査の上で貸付を受けられます。社会福祉協議会は、公的ケアとして家計状況まで細かいケアを行ってくれるので、違法年金担保融資の被害に遭っていることを見つけやすくなります。