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弁護士は任意整理でどのような和解案作成の流れを行うのか


弁護士がどのように和解案を作成し、どのような基準で返済額を決定して業者と交渉決定するのか知っておけば、現在どの段階まで進んでいるのか分かりやすいです。そこで、弁護士が任意整理の和解案を作成する際の具体的な内容を解説します。まず任意整理で全ての貸金業者(債権者)に対して取引当初からの全取引経過が開示され、債務残高が確定した後に、次に依頼者の毎月返済額を元にした和解案を作成し提示することになります。 実際には、業者の協力が得られなかったりして取引経過の全面開示までに長時間を要する場合も少なくはありません。 このため、全ての業者の債券額の確定を待つことになると、取引経過の開示に積極的に協力してくれた業者に対する和解案の提示も著しく遅延してしまう結果になりかねません。

そこで、現実的な対応としては、大部分の業者から取引経過が開示された時点で、依頼者の債務総額を概算して和解案を作成せざるを得ないのです。この場合、作成した和解案は、全取引経過を開示してくれた業者に対して、一斉に送付することになります。

全取引履歴開示請求に応じてくれた債権者ほど早く和解金を受け取れる

後になって全取引経過を開示した業者に対しては、順次個別に和解案を作成・送付することになります。 それまでにプール金が積み立てられていれば、後で和解した業者についても、それまで弁済すべき金額を保留しておき、それを上積みした和解案を作成することも可能となります。弁護士が受任して以降は、返済が完全にストップした状態で和解を模索することになるので、取引履歴を一部しか開示しない債権者に対しては弁護士が債務者に有利となるよう概算にて和解案を提示することになるわけです。最初の和解案提示は、全ての債権者へ一斉通知することになるので、取引履歴開示を拒んでいる金融業者がどこかすぐに他社にも分かってしまいます。金融業者同士は業界再編が進んでいるため、業者数が減っていることもあり、金融業者間の他社評価がダダ下がりする原因となりかねません。

任意整理は基本的に元金の減額は出来ませんが、例外的に一括返済が出来る場合のみ債権者が元金減額に応じることがあります。債務者の親族等の資金援助を受けられれば、一括弁済の和解案を提示することができるケースもあるわけです。この場合には20~50%程度の元本カットを前提として業者と交渉していくことが一般的といわれています。しかしながら、債務者の収入を返済原資として和解案を作成・提示するケースが大部分です。

和解案の計算式

各業者に対する和解案の計算式です。

「業者への返済月額」=「債務者の返済原資(月額)」×「業者の債務額」/「債務者の総債務額」

すなわち、債権者平等の原則に基づき、債務者の総債務額を各業者の債券額シェアに応じて案分することになります。但し、案分計算の結果、余りに小額となる場合は別途調整する必要があります。最初の和解案提示時点で債務総額を確定させるために必要な債務調査に非協力的な金融業者があると、後から総債務額が増えてしまい各業者が受け取れる返済月額が減ってしまいかねません。全取引履歴開示に非協力的な債権者は後回しにされて、概算額によって返済される金額が固定されてしまい、結果的に和解に非協力的な債権者のみ3年間での完済が出来ないわけです。

返済原資について

債務者の返済原資(月額)は、依頼者から弁護士に毎月送金させる方法をとった場合には、毎月の送金額から未払いの弁護士費用・弁済代行手数料(振込1社あたり1千円)を差し引く必要がある。 例えば、10社の任意整理で毎月6万円のプール金が送金される場合には、弁済代行手数料は月1万円(10社×1,000円)となるので、月5万円が返済原資になります。

返済原資を債務者が確定するには、今後3年以上にわたる確実な収入を基盤にする必要があります。 例えば、本人のボーナス時の増額、本人・配偶者のアルバイト収入などは、不確定の要素を含んでいるので、返済原資として過度に依存することは危険で、甘い見通しで返済原資を多くすると途中で挫折するリスクが高くなるので十分に注意しましょう。多くの弁護士がアドバイスする方法として、ボーナス時の増額や副収入については貯蓄に回して和解協議書に基づく返済には組み込まないことを勧めています。一括返済が可能な金額まで積み増し出来た時点で初めて残りを一括返済すれば良いとするわけです。

業者に対する債権額

当該業者の債権額については、当該業者に開示させた取引当初からの全取引経過に基づいて利息制限法で引き直し計算をした残元本額になります。利息・損害金については、最終取引日以後の利息・損害金は加算しませんし、また将来利息も加算しません。任意整理を行う際には、弁護士が最初から元金支払いのみを前提とした交渉を行うことで、一歩も引かない立場を示すわけです。

債務者の総債務額については、全部の債権者の開示が得られ債務総額が正確に算出された場合を除いて、概算で計上せざるを得ません。任意整理における分割弁済の支払期間は一般に3年程度が基本とされていますが、債務者の総債務額を月額の返済金額で割ると概ね36回程度になるはずです。後から全取引履歴を開示したり開示に難色を示していた債権者については後回しとして、先に毎月の返済額を固定することで非協力的な債権者は36回払いの範囲内から除外するデメリットを与えます。

一部業者に対する過払金債権が発見された場合であっても、返還の時期・金額が未確定である以上、債務者の総債務額から過払金債権額を差し引くのは適当ではありません。過払い金請求は別途行うことにして、あくまでも任意整理全体の返済額算定には含めないことが、完済を目指せる任意整理では必要だと考えられています。



 

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