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返済能力についての基準を知れば弁護士がなぜ任意整理と個人再生を使い分けるのかが分かる


多重債務の任意整理においては、利息制限法内の制限利率による引き直し計算後に残った債務がある場合に、これを返済していく計画を立てる必要があります。返済計画を立てる上で最も重要な事項が、債務者の返済能力、即ち債務者が毎月どのくらいの金銭を返済にまわすことができるかということになります。

この債務者の返済能力を過大に評価してしまうと任意整理をした後に、再び債務者が生活苦に陥り、借入をしてしまったり、あるいは和解契約にそった返済ができなくなってしまう(和解契約違反)という事態を招きかねません。

弁護士目線から見た弁済能力基準とは

債務者の返済能力は個々の債務者によってもちろん異なるものであるが、一般的に債務者の返済能力を測る基準は「毎月の手取り収入から住宅費用を除いた三分の一」が目処とされています。

例えば毎月の手取り収入が28万円であって家賃が6万円ならば、差額の22万円の1/3である73,333円以内の返済なら可能という判断を行うわけです。任意整理を行った際の返済額が7万円以内に収まりそうなら任意整理で話を進め、超えそうならば返済期間を3年から5年に伸ばした任意整理か債務そのものを圧縮する個人再生を考慮することになります。

この基準を前提に、更に債務者の生活状況などを考慮し弁護士と相談して毎月の支払い原資を決定することになります。その際、1ヶ月単位の家計状況を把握し、どの程度収支をコントロールできるかについても把握しておく必要があります。

債務総額を債務者の収入で3年以内に返済できるかを目安とし、債務者が納得し、意欲を持って返済しうる分割弁済計画を立てることが必要です。

毎月の返済可能額は債務者の収入と支出の状況によって決まる

弁護士に依頼し債権者への支払いを止めて一息つくと、それまでの借金返済に追われていたときのような切りつめた生活はできなくなります。ですから弁護士が受任する際に任意整理の可能性が高いと判断される場合には、より正確な返済可能額を算出するために、家計簿をつけることが有効となります。

但し数ヶ月家計簿をつけた結果算出された返済可能額の全額を返済に回すことはできません。3年の間には予想外の出費もありますしアパートを借りている場合の更新料のように2年に一度確実に発生する出費もあるからです。 逆に収入が下がる場合もありますよね。昨今の経済状況では定期昇給は臨めないし業種によってはボーナスが大幅に減少することもあり、ボーナスを返済可能額算出に当たって考慮することは慎重にするべきです。

業者によっては事情如何により36回以上の長期の分割払いに応じることもあるので36回以上の長期の和解を打診してみることが必要になります。但しほとんどの業者は60回くらいまでの和解しか応じないので長期の分割と言っても60回くらいが限度でしょう。なぜなら、返済期間が長くなるほど債務者本人の収入が安定しているという保障も少なくなるからです。36回払いを返済遅れ無く完済することよりも、60回払いを無事に完済する方が任意整理を行う人にとって難易度が高くなります。すでに支払い不能に陥っている現状があるので、返済能力を債権者自体が疑問視しているからです。

貸金業者の中には任意整理後の一括払いなら減額に応じてくれることがある

貸金業者によっては一括払いの場合に引き直し計算後の残額からさらに減額に応じることがあります。元金を減額してしまうと貸金業者にとって損をしてしまうのではないかと考えがちですが、金利引き直し計算により既に返済総額が減っている以上、確実に現金回収が出来る方が遥かに良いと考えられるわけです。

貸金業者は商売で貸金業を営んでいるので、任意整理に応じて分割払いにしても一度任意整理を行っている以上は債務者が完済できると本当に信じているわけではありません。なぜなら、貸金業者と任意整理による和解に至った後で和解金返済が滞り、最終的に個人再生や自己破産を行う債務者が一定割合いるからです。任意整理により和解に至ったからといって、元金全額がしっかり完済される保障が無い以上は元金の7割程度までは減額してでも一括返済してもらった方が良いと考える貸金業者があります。

一見すると不思議に思えますが、貸金業者は利息制限法に基づき定められた上限金利ギリギリで融資していることが多いので、住宅ローンとは異なり遥かに高額な金利で融資を行っています。年率15%~20%という金額に応じた上限金利がありますが、年率15%であっても一括返済してもらった元金を新たに年率15%で別の人に融資すれば、3年以内に減額した分以上の利息を回収可能です。将来完済出来るか不安な元金全額よりも、すぐに受け取り可能な一括返済の7割の方が貸金業者にとっては有利と考える業者もいます。

親族の援助により債務整理をする場合は債務者本人の反省が欠如し経済的更正への意欲が乏しいまま終わり、再度多重債務に陥る場合が多いです。債務者本人が反省しそれまで用いていたカードを破棄するなどして二度と借入をしないようにしましょう。

弁護士による家計簿チェックは債務整理方法を見極めるためでもある

弁護士が債務整理を受任する際には、具体的な債務調査と家計簿チェックを行った上で、契約内容を変更することが少なくありません。最初は任意整理として受任していても、家計簿チェックを行った結果として返済見込み額が予定よりも下回りそうならば、任意整理ではなく個人再生手続きで債務整理すべきではないかと常に検討するわけです。任意整理は債権者との和解がまとまらなければ成立しないので、受任契約を行う際にも和解に至らない場合には別の債務整理方法として個人再生と自己破産に移る可能性を指摘します。最初から任意整理のみしか説明しない弁護士は、和解に失敗したら着手金のみ受け取り依頼者を放り出す可能性があるわけです。

任意整理を行った結果として、元金のみを36回払い行う金額は、金利引き直し計算を行った上で単純に36分割するだけです。一方、個人再生手続きならば小規模個人再生が認められた時に最大1/5まで債務を圧縮出来るので任意整理よりも返済総額を大幅に減らせます。余裕を持って完済出来る状況を目指すなら、個人再生を視野に入れた債務整理説明を行う弁護士が望ましいわけです。任意整理という債務整理方法をなぜ選ぶのか、個人再生を選ばない理由まで含めて真剣に弁護士と話した上で決断を行うことが望ましいでしょう。

任意整理ならば、保証人が付いた契約をしている債務については対象外と出来ますが、個人再生では偏頗弁済を避けるために住宅ローン以外の債務を全て届け出ることになります。保証人がいる債務があると、減額された債務額の請求が保証人に行ってしまうので、個人再生手続きを選びにくい人も少なくありません。特別な事情があるならば、任意整理しか方法が無いものとして、収入アップと家計の無駄遣いを無くす覚悟が求められます。弁護士は一歩引いた目線から家計簿チェックを行えるので、多くの債務者が陥りやすいポイントを熟知しているからこそ冷静なアドバイスが可能です。



 

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