多重債務状態に陥っている人は200~300万人超に上ると言われています。安定した仕事をしている人ばかりとは限らず、中には病気や失業に伴い生活保護給付を検討している、または生活保護を貰っている人で、 毎月の借金の返済に追われている人も多いと聞きます。 生活保護給付を受給中や申請中でも、任意整理や自己破産などの債務整理が、実際にできるのでしょうか。
生活保護費から借金の返済は困難
生活保護として受け取る金額は、生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助、介護扶助が名目となります。これら生活保護給付を受けている場合でも、借金がなくなるわけではありませんよね。基本的に法律では借金と生活保護の間には直接の関係はありませんので、借金を抱えた人や世帯が生活保護を受けられないということはありません。また生活保護を受給している人が生活保護費で借金の返済をした場合でも、借金の返済に充てるお金も生活に必要な金銭ということができます。
ですから生活保護の給付金の使途については法律上の制限がありません。しかし、実際に生活保護費から借金返済を行うと、最低限度の生活を保障する憲法上の規定との整合性が取れなくなるだけでなく、遊興費に使われる懸念が生まれて生活保護費の現物支給まで一部自治体では検討されて問題になっています。
生活保護を受ければ借金の自主的な返済は可能でも差し押さえは出来なくなる
生活保護法では、国から提供された住居や金品については、差し押さえ等ができないと言う事が規定をされています。このため、生活保護受給者が消費者金融などから借りたお金を返済しない意思を示すことによって、債権者はお金を回収することができないのです。税金に関しても滞納があったからといって無くなるわけではありませんが、生活保護受給状態の人に強制徴収を行うことは出来ません。
運用上は生活保護費からの借金返済は認められない
「借金があると生活保護は受けられない」という質問をネットで見かけますよね。 はたして借金返済に対して生活保護のお金を使うことは可能なのでしょうか? 基本的に生活保護を受ける段階において、借金について聞かれる事になると思うのですが、方針としては借金を整理した後に、生活保護を受けることが前提となっています。生活保護を申請する際に少額の借金がある状態であれば、その担当者は借金返済の期間延長や一時停止を交渉するようにアドバイスをすることがありますが、これは生活保護から借金の返済を認めたわけではないということです。
つまり借金があっても、生活保護は受けることはできますが、生活保護費を直接借金返済に充てる場合は、法的に問題がなくても福祉事務所のストップがかかる場合があるということです。
生活保護受給停止の見込みが無い限りケースワーカーは自己破産を勧める
生活保護受給中でも任意整理は可能です(任意整理は業者と和解して再計算後に3年~利息無しで残金を支払う方法です) しかし実際のところ福祉事務所のケースワーカーとしては、生活保護の相談に来た人に対しては「法テラスに相談して、自己破産の手続きを取ってください」というケースが多いようです。 弁護士に相談しても「生活保護の方は、借金額”10万円”でも自己破産です」という判断になります。
具体例としては、法テラスで扶助を受けた場合は、月々1万の分割払い、総額15万弱になるそうです。さらにローン返済の口座と別の口座を用意して、そちらに保護費を振り込むようにすれば、見かけ上は保護費からの返済にならないということになります。ですが実際問題として、生活保護費を借金返済にを使った場合に関しては、生活保護が中止される恐れもあるということは頭に入れておく必要があるでしょう。
法テラスなら生活保護受給者に対する返済免除制度がある
日本司法支援センター(法テラス)の場合は、自己破産では弁護士費用だけでなく、裁判所に支払う予納金などの実費も立て替えてくれることになっています。生活保護受給者の場合には、その立替金の返還も免除されることになっていますから、自己破産をする方が有利といえますよね。 免除される詳しい項目については、法テラスの方に相談して確認を取った方がよろしいかと思います。
従って自己破産したとしても生活保護を受けることは可能となっています。 また生活保護を受給している最中であったり、これから自己破産の手続きを行う場合についても、生活保護費が差し押さえられることはありませんので安心してください。生活保護が絡みますと市役所や区役所などの役場で相談するケースが多いと思いますが、債務整理を検討している方はその前に、弁護士などの専門家に相談をすることが大切です。
債務整理や生活保護の申請に強い弁護士さんも最近は増えていますので、債務整理と生活保護の申請をセットにして面倒をみてくださいます。但し弁護士さんによっては生活保護が絡むと受任して貰えないところもあるようですが、メール相談などで事前に打診しておくのがいいと思います。
最悪の事態を避けるためにも開き直ることが大切
「借金でどうしようもない」「明日食べる物も無い」というところまで追い詰められている方は、債務整理を視野に入れた上で弁護士さんに相談しましょう。「借金があるから生活保護は受けられない」と諦めずに、生活保護での借金は可能か、借金問題解決の第一歩を無料相談することから始めてみませんか? 勇気を持って弁護士さんに相談してください。
基本的な流れとしては、
→生活保護申請予定でも受任してくれる法テラス立て替え払いに対応した弁護士を探す
→弁護士と共に市町村役場で生活保護申請を受ける
→債務整理を実施
→生活保護受給開始
という順番で行えば、多少途中経過が前後しても問題なく債務整理と生活保護の受給を進められます。