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法人の少額管財手続とは?東京地方裁判所が編み出した特別な手段だった


株式会社などの法人の破産は、一般に破産管財人の業務も複雑で多岐に渡るため、予納金も高額になっています。しかし個人経営と実態が異ならないような零細企業の場合は、事情が異なります。

このような事情から東京地方裁判所では、法人少額管財事件というメニューも用意していました。※尚、法人には同時廃止という制度はありません。法人小額管財事件は次のような場合に認められます。

①法人併存型

個人と同視できる法人で、個人とともに法的清算をする場合

②法人単独型

ほとんど資産のない法人で、代表者とは別に法的清算をする場合

③法人清算型

若干の換価業務が予想される法人について法的清算をする場合

法人小額管財事件の場合には、原則として3ヶ月後に指定する第一回債権者集会までに換価を終えて事件を終結させるよう努めているようです。

通常の管財事件だと、少なくとも1年はかかっていたのに比べると、第一回債権者集会まで3ヶ月というスピードは驚きです。個人小額管財事件は、同時廃止事件とそう大きく手続きが異なることはないといえるでしょう。これに対して法人小額管財事件は、手続きがかなり異なります。ただ、特に会社を作って自営業を営んでいる人は、このような手続きもあるのだということを覚えておいて、必要な時は弁護士に相談してみましょう。

破産法には法人の少額管財という規定が無い

破産法で定められている自己破産には、破産同時廃止事件と破産管財事件の2種類の処理方法しか規定されていません。法人の場合には、同時廃止という制度自体が無いために、全てが破産管財人を選任して処理しなければならない破産管財事件となってしまいます。破産管財事件には、多額の予納金が必要とされているので、個人が少額管財を行うために必要な20万円という金額よりも高額な費用が無ければ法人は自己破産すら難しいわけです。

法人の破産管財事件は、負債総額により予納金が変わります。最小規模の破産管財事件であっても、負債総額5,000万円以下の条件で、法人破産の予納金70万円と代表者個人の予納金50万円という合計120万円が最低額です。負債総額が更に大きければ、予納金額が増えてしまうので法人を破産処理したくても、申し立て費用すらままならない状態となりかねません。東京地方裁判所にて生み出された小額管財ならば、予納金を最低20万円からと従来の1/6まで減らすことが出来るので、倒産に伴う自己破産手続きならば早期解決と破産処理を速やかに行えるメリットがあります。

簡易化と迅速化のためにどのような工夫が行われているのか

少額管財事件として処理することは、裁判所と破産管財人に掛かる負担を軽減するために行われるものですが、資産がほとんど残っていない法人に対しても有効な方法です。法人の自己破産手続きは、破産管財人による財産調査と換価処分が行われて、中間配当だけでなく最終配当までをしっかり行った上で清算処理が行われます。少額管財事件は、清算処理を簡易化した簡易配当の制度を使うことが出来るので、破産管財人が自己破産申し立てから3ヶ月以内に換価処分を行った上で簡易配当のみで配当を終了させることが可能です。

少額管財手続きを行う上で、メリットが多いポイントとして次のような点が挙げられます。

・財産状況報告集会・債権調査・破産手続廃止に向けた意見聴取集会・任務終了計算報告集会・債権者集会・個人破産の免責審尋の各期日といった本来別々の日程に行われる

期日を債権者集会と同じ期日に出来る

・債権者集会での報告が破産管財人による口頭説明だけで足りる
・引継予納金が破産申し立て代理人から破産管財人へ直接引き継がれる
・個人破産に対する財産換価基準が事前に用意されている

一般的な破産管財事件では1年以上掛かる処理を申し立てから3ヶ月後の債権者集会までに一通り終わらせることが出来るので、少額管財事件として処理出来れば関係者が全て早期処理出来るメリットを受けられます。

法人少額管財が行われる条件を確認しておきたい

法人少額管財が行われる条件を知っておかなければ、予納金の準備が不足してしまい自己破産手続きを取下げなければならない事態となりかねません。債務総額が5,000万円以下の小規模な倒産であっても、120万円を用意しなければならない状況と、20万円の予納金準備では難易度が大きく異なるからです。法人少額管財事件として取扱が可能な条件は、各裁判所により異なるものの共通項目として次のようなポイントがあると理解しておく必要があります。

・少額管財手続きの取扱がある裁判所に申し立てをすること
・法人所在地と異なる住所地の裁判所へ少額管財手続きとして申し立てするためには個人債権者が含まれていないこと
・代理人として弁護士が債務調査をしっかり行った上で弁護士による自己破産申し立てが行われていること

法人の少額管財手続きを行うためには、効率を重視して弁護士が申し立て代理人となっている場合に限り、少額管財手続きを行える点に注意が必要です。法人の代表者本人による本人申し立てを行うと、少額管財事件として処理が出来ないために、必ず弁護士へ依頼して自己破産申し立てをしなければなりません。本来ならば1年以上かかる法人の破産管財事件を一気に処理するためには、申し立てを行う弁護士と破産管財人として選任される弁護士双方が情報連携をスムーズに行える必要があります。弁護士が自己破産申し立て時に行う債務調査の内容をスムーズに破産管財人へ引き継げることから、破産管財人の報酬が減る少額管財事件であっても引き受けてくれる弁護士がいるわけです。



 

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