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住宅ローン特別条項を利用した例から学ぶこと!小規模個人再生で人生再出発


Eさんは55歳になる妻と2人暮らしです。 住宅ローンを利用して2150万円で自宅マンションを購入しましたが、子供の大学入学金や学費の支払いのために国民生活金融公庫から借り入れを行いました。 また、運送会社をリストラ解雇されたため、生活費のために銀行系カード会社やクレジット会社などから借り入れをするようになりました。 また、長男と長女が相次いで結婚したため、結婚費用の一部も銀行系カード会社などから借り入れをしました。

そして住宅ローンの残金約1500万円の他に、国民金融公庫や銀行系カード会社、クレジット会社など9社から約700万円の債務を抱えるようになってしまったのです。 住宅ローンの支払いは毎月6万円、ボーナス時33万円で、国民生活金融公庫や銀行系カード会社、クレジット会社などの9社の支払いは毎月15~16万になっていました。 しかし、タクシー運転手としてのEさんの手取り月収は28万円程度でしたので、次第に支払いに窮するようになりました。

Eさんは、自宅マンションは長年住み慣れたマンションであるし、これから引っ越しをしても家賃が現在支払っているマンションの住宅ローンよりも高くなりそうでしたので、 弁護士に相談して、住宅ローン特別条項を利用した個人再生手続きの申立てをすることにしました。 弁護士が介入通知(受任通知)を出すと、Eさんは住宅ローン会社を除く債権者に対する支払いも一時ストップすることができました。

Eさんは地方裁判所に住宅ローン特別条項を利用した小規模個人再生手続きの申立てをしました。 住宅ローンについては従来通り支払っていく、住宅ローンを除く銀行系カード会社やクレジット会社など9社については、債権総額725万円の20%に相当する145万を 毎月4万円ずつ三年間かけて弁済するという再生計画案を提出し、この再生計画案が地方裁判所によって認可されました。

現在Eさんは再生計画案に従って、住宅ローンをこれまで通り支払い、その他の債権者については毎月4万円を各債権者に応じて弁済しているところです。 Eさんが三年間計画通り145万548円を完済すれば住宅ローンを除く債権総額725万2723円の80%にあたる580万2175円が免除されることになります。

個人再生手続きの住宅ローン特別条項なら持ち家を維持できる

20年から35年という極めて長い期間返済を続ける住宅ローンは、人生で1度組むかどうかという人生設計と連動した超低金利有担保ローンです。資産を形成しつつ無担保ローンでは考えられない低金利で長期間借入することが出来るからこそ、高額な買い物が出来ます。しかし、当初の収入計画通りに進まなかった場合やリストラ・倒産といった事情により、思うように返済が出来なくなった時には、穴埋めをするために無担保ローンに手を出してしまう人が後を絶たない状況です。結果的に住宅ローンと無担保ローンの2種類を同時に抱えることになってしまい、債務整理に着手しなければならない自体に陥ります。

個人再生手続きを利用すれば、小規模個人再生の場合なら住宅ローン特別条項を適用させることにより、住宅ローンはそのまま返済を続けて無担保ローン部分のみを最大1/5まで圧縮して返済出来ます。3年間という返済期間に渡り、圧縮した無担保ローンを返済し続ければ、残りの無担保ローン4/5が返済免除対象となるわけです。個人再生を行う最大のメリットは、持ち家を維持するために本来ならば偏頗弁済にあたるにも関わらず、住宅ローンだけは偏頗弁済を認めてもらえる制度という点です。弁護士以外に個人再生手続きをトラブル無く完了させることが難しい理由として、再生委員の選任と住宅ローンを提供している金融機関との交渉の難しさにあります。債務整理の中でも最も難易度が高いとされる住宅ローン特別条項付き個人再生は、弁護士であっても根気が必要な債務整理方法です。

再生計画案の作成時に可処分所得を細かく聞かれる

住宅ローン特別条項付き小規模個人再生では、再生計画案の作成時に可処分所得を細かく弁護士からも聞かれてチェックされます。なぜなら、何度も住宅ローン部分をいじることが出来ないため、本当に個人再生により無担保ローン部分を圧縮すれば、3年間の完済が可能なのかという点を慎重に金融機関も判断するからです。住宅ローン審査を経験したことがある人なら分かるように、収入から可処分所得を割り出して返済に充てる割合まで細かいチェックが入ります。もう1度住宅ローン審査を受けている気分になると感想を述べる人もいるくらい、住宅ローン特別条項付き小規模個人再生は返済能力のチェックが厳しいです。

手取り年収に対して住宅ローン支払い分が1/4以内に入っているかという点が最も重要であって、次に圧縮後の再生計画案による返済額が住宅ローン支払い分を除いた金額の1/3以内になっているか確認されます。どちらかがオーバーしている場合には、住宅ローンの返済額を減らして返済期間を延ばすという難しい計算と交渉を金融機関としなければなりません。

一歩進めて住宅ローン部分の再スケジュールという手もある

リストラや失業に伴い次の転職先の給与額が下がる場合には、住宅ローン特別条項付き小規模個人再生において、住宅ローン部分の返済スケジュールを調整しなければなりません。金利部分は変わらずに、毎月の返済額が手取り額の1/4に収まるように調整するだけでなく、賞与返済額が多い場合には賞与返済を無しとするといった方法が考えられます。返済期間を5年延長して再計算を行うと、毎月の住宅ローン返済額を抑えられるものの、返済総額は増えてしまうという矛盾を抱えることになるでしょう。しかし、別途賃貸物件を借りて住むよりも安上がりになるだけでなく、金融機関側も抵当権を行使して確実に損失を出すよりも、再スケジュールに応じて完済出来る方を選びます。なぜなら、住宅ローンの返済期間を延長した分だけ総返済額が増えるので、金融機関側にもメリットがあるからです。再度返済計画を立て直すことで、無理なく住宅ローン返済を続けてもらえるので、再生計画案が完了する3年間だけ注視していれば、後は住宅ローンのみの返済となるため安定します。

個人再生を行った後は、個人信用情報機関に異動情報として3年間の完済後、5年から10年間掲載され続けることになります。異動情報欄から消えない限りは、新たな借入が出来ないために住宅ローンのみを返済する結果に繋がり、金融機関としては安定した返済を期待出来ます。上記事例では、住宅ローンの再スケジュールまでには踏み込んでいないものの、一歩踏み込めば住宅ローン再スケジュールにより収入に変化があっても返済計画を立て直すことが出来ます。



 

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