債務整理を弁護士に依頼する際に、どのような弁護士を選んだらいいのか何も知らないと思わぬ失敗を招きかねません。なぜなら、債務整理の中には場数を踏まなければ分からない独特な裁判所ルールが存在しているからです。とりわけ東京地方裁判所は、訴訟取扱件数が極めて多いために独特な運用を一部で行っていることが知られています。中でも自己破産時に行われる即日面接制度は有名です。
弁護士の取扱業務範囲は大海のごとく広い
まずは弁護士にも多くのタイプがありますが、債務整理を専門としている弁護士と、そうでない弁護士とがあります。当然のことですが、債務整理を依頼するには、債務整理を専門としている弁護士がよろしいでしょう。弁護士が取り扱う分野はあまりにも多岐にわたり、専門分野であるかどうかで、弁護士の能力は圧倒的に異なるのです。
最も分かりやすい例として、東京地方裁判所管轄内で自己破産を行う際に、即日面接を行って成功するかどうかは債務整理を専門としている弁護士かどうかで破産免責審尋を受けるまでの期間に1ヶ月の開きが出ます。債務整理を専門とする弁護士ならば、自己破産申し立て当日に破産宣告を受けることが出来るので、破産免責審尋は最短1ヶ月後に行えるわけです。債務整理を専門としていない弁護士に依頼すると、即日面接に対応していないので裁判所により破産宣告を受けるまでの期間が長くなります。
債務整理に強い弁護士は公式サイトで積極的に謳っている
債務整理が専門分野であるかどうかは、事務所案内やウェブサイトに書いてあることが多いので、容易に把握することが出来ます。ただし、過払い金の返還請求は、債務整理の中でも1分野と言ってもいいのですが、「過払い」というものに特有の問題も多く、最新の判例・学説や実務にも精通している必要があります。従って、過払い金の取り戻しのために適切な弁護士を選ぶことは、なかなか難しい問題です。グレーゾーン金利によりかつて借入を行っていた人の中には、初回契約から年数が経過する中で一旦は完済を行ったことがある人もいるでしょう。過去の正確な取引履歴が無ければ、借入が分断されているかどうかの判断が出来ません。消費者金融を始めとする貸金業者の中には、最終取引日から10年間という時効期間が来るまで待とうと考えている会社が少なくありません。
弁護士事務所には2つのタイプがある
債務整理を専門とする弁護士事務所を探すと、数多くの事務所が見つかります。一見すると同じに見えてしまいますが、2つのタイプがあると知っておけば見分けがつきやすいです。債務整理全般を行う弁護士事務所は、全ての業務を弁護士自らが行っているわけではありません。パラリーガルと呼ばれる法律事務所の事務員として働いている人の人数により、債務整理の処理方法に違いが生まれています。 ・弁護士の人数は少数で、大量の事務員が事務処理をしている法律事務所(事務員型事務所) ・事務員はそれほど多くなく、弁護士自ら事務処理をしている法律事務所(弁護士型事務所) の2種類に分けて考えれば、債務整理を依頼するかどうかの判断を行いやすくなるわけです。。
事務員型事務所は、比較的新しくて綺麗な事務所でウェブサイトなども良く出来ていたりする傾向があります。これに対して、弁護士型事務所は昔ながらの古い事務所で、ウェブサイトが無いような場合もあります。両者の区別は、弁護士と事務員の人数比で分けられます。弁護士1人当たりの事務員が五人を超えるようですと事務員型事務所だと言えますし、2・3人程度であれば弁護士型事務所になるでしょう。
債務整理の依頼内容が決まっていたら事務員型事務所が適している
相談者が事務員型事務所に電話をかけると、まず親切で丁寧な事務員が電話に出て、電話相談や面接の日が決まります。相談者が面接に行くと、美人の事務員が話を聞いてくれるかもしれませんが、弁護士には会えない事が多いでしょう。つまり事務員型事務所の場合、なかなか弁護士と話ができないことが多いのです。これに対して、弁護士型事務所に電話をかけると、弁護士が電話に出て対応してくれることが多いでしょう。もしかしたら愛想が悪いかもしれませんが、長く経験豊富な弁護士だからというわけではなく、無難な対応を行うために無表情になることが少なくありません。 債務整理方法について相談に乗って欲しいから初回面談予約を入れたにも関わらず、事務員のみが対応する状態では先が思いやられます。任意整理・個人再生・自己破産のうちどの手法で債務整理を行うのか決めている場合のみ、事務員型事務所が合っていると考えて良いです。弁護士資格を持たない事務員に法律相談をしても、正確性に欠けてしまうので最適な選択肢を選べないリスクを冒すことになりかねません。
具体的な債務整理方法からじっくり相談したいなら弁護士型事務所が良い
両者を比較して、どちらがいいのかというのは、難しい問題です。定型的な最低限の処理はしてくれるという意味では、事務員型事務所でもいいのかもしれないですし、弁護士費用も比較的安いかもしれません。しかし弁護士が最初から話を聞いてくれるという点では、弁護士型事務所の方がいいのかもしれません。
債務整理の中でも裁判所を介した公的な債務整理を行う個人再生と自己破産については、手続き内容が最初から難しくミスが許されません。弁護士に直接相談した上で、即答出来ない場合すらあるくらいですから、債務整理方法を選ぶ際には弁護士との直接面談以外あり得ないわけです。
もちろん、弁護士にもピンからキリまでいますので、相性の善し悪しというものはあるでしょう。弁護士事務所だけではなく、司法書士との選択もありますよね。一番最初の段階で弁護士と相談して、適切なアドバイスをもらわないと、あとで全てがおかしくなるということもよく起こります。ご自分の債務整理の内容や今お持ちの資金の状況を考え、適切な事務所を選択するようにしましょう。
弁護士法人に債務整理を依頼する際には短期決戦を目指す
債務整理を行う際には、初回面談から実際に裁判所へ申し立てを行うまでに時間がかかるケースが少なくありません。債務整理を弁護士に依頼する際には、あくまでも弁護士が本来個人営業を行っているという点を忘れないようにしましょう。なぜなら、弁護士法人へ初回面談に臨んだ際に弁護士2名体制で相談を受けることがあるからです。2名の弁護士に相談依頼をする際には、どちらの弁護士に担当してもらえるのか選ぶことが出来るか確認すると良いです。
債務整理を専門的に行う弁護士事務所に就職する弁護士の中には、司法修習所を出たばかりの新人弁護士が少なくありません。債務調査を行った結果として、過払い金が見つかった場合には先に過払い金請求訴訟を提起する必要があるので、結果として個人再生や自己破産申し立てが年度を跨いでしまうことがあるからです。中には担当弁護士が年度代わり時期に他の弁護士事務所へ移籍してしまうことがあるので、途中で話がズレてしまう原因となります。
弁護士法人に債務整理を依頼する場合には、最初から弁護士を指名して契約することは出来ずにあくまでも弁護士法人との契約になる点を忘れないようにしましょう。弁護士は契約した内容を事務的に処理することが得意ですから、弁護士法人に債務整理依頼を行うと契約通りの債務整理を着々と行ってもらえる存在になると認識しておけば間違いないです。フルサポートを期待して弁護士との個人契約を望む場合には、弁護士型事務所を探して依頼すると良いでしょう。