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仮執行宣言とは?裁判所の職権で強制執行出来るものの裁判官の責任が重い


仮執行宣言とは?

仮執行宣言とは、本来3審制度により控訴や上告が認められている日本の裁判制度において、判決確定まで強制執行出来ないと原告に取り返しのつかない損害が出てしまう場合のみに付与されるものです。仮執行宣言が付いた判決を取得すると、民事執行法に基づく強制執行を確定判決を待たずに判決正本をもって行うことが出来るので、原告の主張が認められた判決により速やかに財産権の回復を図ることが出来ます。

しかし、仮執行宣言を付することが出来る判決は限定されていて、上級審で逆転判決が出た時に速やかに原状回復が可能な金銭債権といったものに限定されて仮執行宣言は出されます。一度強制執行が行われると原状回復が困難な明け渡し請求訴訟といった内容の訴訟では、余程のことが無い限り仮執行宣言が付されることはありません。なぜなら、裁判官が書く判決は上級審で覆される可能性があるので、被告の生活基盤を破壊するような判決に対して仮執行宣言を出すことは問題が大きいからです。

上級審で真逆の判決が出ても原状回復可能な財産権のみに適用

判決が確定するのは、判決文の送達を被告が受けてから2週間以内に上訴を行わなかった場合です。上級審への控訴または上告が行われた場合には、原告は確定判決を得ることが出来ずに上級審の判決が確定するまでは強制執行の申し立てを出来ません。原告にとって早期に判決を行使出来ないと困る状況を救済する方法として、財産権に対してのみ仮執行宣言が付けられます。金銭支払いを求める判決ならば、仮に上級審で逆転敗訴しても差し押さえた金銭を返却するだけで済むわけです。

しかし、明け渡し請求訴訟のように1度仮執行宣言が付されたことにより強制執行が行われた後になって、上級審にて逆転敗訴判決が出た場合には既に強制執行による断行が行われてしまっていると、原状回復義務が果たせずにかえって損害賠償請求をされてしまいます。

仮執行宣言は裁判官の責任により出されるものである

裁判所の判決は、単独または合議制により裁判官の責任により出されるものですから、上級審にて判決が覆されることがあれば裁判官の責任となります。原告及び被告の立場では、判決に不服があれば上級審へ上訴すれば良いと単純に考えますが、実際には判決に裁判官名と署名がしっかり行われており、上級審への上訴を行う人が判決を出した裁判官を相手取って上訴することになるわけです。

上訴された上級審の裁判官は、どの裁判官の判決に対して不服があり上訴しているのかチェックするので、例えば地方裁判所から高等裁判所への控訴では控訴理由書に原判決の誤りを内容から誤字脱字に至るまで細かく指摘した上での控訴状が出されてしまいます。このため、原状回復不可能な判決に対して仮執行宣言を出してしまうと、裁判官本人の査定にも響くと考えられるわけです。

仮執行宣言が出されても必ずしも強制執行義務は無い

裁判所の判決に仮執行宣言が付されていても、必ず強制執行をしなければならないわけではありません。なぜなら、強制執行を行った場合には予納金として少なくとも65,000円を納める必要があり、強制執行に伴う費用負担は原告が行うことになるからです。

判決を基にして最初は任意での交渉を行い、履行を迫ることから始めます。しかし、仮執行宣言が付帯されることによりかえって被告側が好戦的になる傾向が強いので、必ずしも仮執行宣言付きの判決が良いとは限りません。




 

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