免責不許可事由とは?
債務整理方法について弁護士へ相談に行くと、借金理由を詳しく聞かれることに驚きます。なぜなら、自己破産申し立てを行うだけでは借金返済は免除されず、破産免責決定を受けて初めて借金返済義務を免除されることになるからです。弁護士が確認する免責不許可事由とはいったい何でしょうか。
免責不許可事由とは?
免責不許可事由とは、破産法第252条1項に規定されている破産免責決定を許可しない11種類の理由を指すものです。破産宣告を受けても借金について確定されるだけであって、実際の借金返済義務免除は裁判所が行う破産免責決定によります。
裁判官が不当に債権者に対して不利益な決定を出さないようにするため、予め破産免責不許可事由を条文として定めていて、11種類の理由全てに該当しなければ破産免責決定を出して良いことになっているわけです。特に注意しなければならない主な免責不許可事由は、次の6種類となっています。
①ギャンブル・風俗・多額のショッピングといった本人の浪費により借金を作った場合
②自己破産申し立てを行う際に財産を隠す・壊す・渡すなどして減らした場合
③自己破産申し立てに至る直前の1年間に、住所・氏名・年齢・年収・勤務先といった経済的な信用判断に関する情報として債権者へ嘘の情報を告知して借り入れなどを行った場合
④ローンやクレジットで換金可能な商品を買って債権者の同意を得ずに売却した場合
⑤破産申し立て日より過去7年以内に免責決定を受けたことがある場合
⑥破産管財人との面談や債権者集会への出席といった裁判所や破産管財人の資産調査に非協力的だった場合
免責不許可事由に該当するなら個人再生を視野に入れる
借金理由の中に免責不許可事由に該当するものが含まれていると、自己破産申し立てを行っても破産宣告がなされるだけで借金返済義務が残ってしまう可能性があります。破産免責決定には、裁量免責と呼ばれる救済方法がありますが、裁判所を納得させることが出来るだけの理由がなければなりません。
免責不許可事由に該当してしまった借金額が大きく、現在も原因を完全に除去出来ていない状態ならば、いっそのこと免責不許可事由に該当していても関係なく手続き可能な個人再生を視野に入れても良いでしょう。免責不許可事由は、債権者に多大な迷惑を掛けてしまうことから、自己破産申し立てが乱用されすぎないよう歯止めを掛けるために設けられた規定です。やむを得ない事情により自己破産申し立てに至った人や、これからやり直そうとしている本人を救済するために免責不許可事由に該当しなければ、破産免責決定を認めようとする規定でもあります。
免責不許可事由に該当してしまったら少額管財事件として申し立てしよう
借金理由の中に免責不許可事由が含まれている場合には、借金原因を根本的に除去した上で、過去の反省をしっかり行い少額管財事件として自己破産申し立てを行うと良いです。少額管財事件ならば同時廃止事件とは異なり、破産管財人が選任されて半年程度かけて家計状況から生活態度に至るまで浪費癖が治っているか経過観察出来ます。
裁判官の人数が限られているので、破産管財人として弁護士が選任された上で定期的に本人をチェックすれば、破産免責申し立てを認めるべきか判断材料となります。裁判所としても破産管財人による経過観察を経て本人が生活態度を改めていることが分かれば、裁量免責を認めても良いという考え方になるでしょう。債権者に対して多大な迷惑を掛けるからこそ、裁判所は破産免責決定について免責不許可事由に該当する場合には裁量免責を慎重に判断します。