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乙号証とは?民事訴訟と刑事訴訟で扱いが異なる


乙号証とは?

裁判では証拠調べ手続が行われ、その際に「甲号証」・「乙号証」・「丙号証」・「弁号証」といった様々な名称を付けて証拠が提出されます。乙号証は、全く同じ名称であっても民事訴訟においては被告人が裁判所へ提出する書面による証拠となり、刑事訴訟では被告人の供述調書・身上・前科関係の証拠を指します。このため、民事訴訟と刑事訴訟では異なる意味合いで乙号証が使われていることを知った上で、裁判準備や傍聴を行うと良いでしょう。

一度提出された乙号証は、地方裁判所から高等裁判所・最高裁判所へと上訴されても番号が変わらずそのままの形で使われます。このため、どの裁判で何の目的により誰が出した証拠なのかを把握する方法として、乙号証は用いるわけです。刑事訴訟では検察官が証拠請求を行う形で乙号証が用いられますが、民事訴訟では被告が自らの主張を明確にするために乙号証として番号を付けて裁判所へ提出します。

刑事訴訟では甲号証の後に乙号証の証拠調べが行われる

刑事訴訟手続きでは、甲号証の後に乙号証の証拠調べが行われます。なぜなら、甲号証には犯罪事実に関する証拠の中で被告人による供述証拠等を除いたものが提出されるからです。物証や状況証拠として甲号証により証拠調べを行ってから、乙号証により被告人が行う供述調書・身上・前科関係の証拠を提示することで物証以外の部分を裁判所が判断することになります。刑事裁判で弁護側が証拠調べ請求を行うものは全て弁号証という表記がされるので、検察官が求める証拠調べとは明確に区別されます。

民事訴訟では被告の書証が乙号証

民事訴訟では原告による証拠調べ請求が甲号証となるので、乙号証は被告が行う証拠調べ請求に限定されます。第1回口頭弁論に被告が呼出状に応じて法廷へ現れることは少ないので、事実上第2回口頭弁論において乙号証が訴状に対する認否と合わせて提出されることが多いです。反証として第3回口頭弁論において原告が準備書面と甲号証を追加し、第4回口頭弁論において被告が更に追加で乙号証を提出することになります。

提出する証拠の数に制限は無く、原告の主張に合わせて追加の証拠と共に反論を行うことも可能です。乙号証として提出される書証には、現物の証拠だけでなく被告本人が自らの体験を時系列に沿って記述した「陳述書」を乙号証として提出することも出来ます。物証が無いものの自らの経験を裁判で主張したいという場合には、陳述書の提出を乙号証として行うと良いでしょう。

刑事訴訟の乙号証を民事訴訟で使う時の注意点

刑事裁判で検察官から証拠調べ請求がされる乙号証は、同じ犯罪を伴う事件に対する民事訴訟でも証拠として請求することが出来ます。その際に検察官が刑事訴訟で請求した乙号証と、民事訴訟で被告側が請求した乙号証の番号が重なって混乱するという危険がありますが、実際に起きることはありません。なぜなら、民事訴訟において検察官請求乙号証を証拠調べ請求する際には、「検乙第○○号証」という形で検の文字が追加されていることが多いからです。

同じ事件について民事と刑事の両方で訴訟が起きても、地方裁判所により運用は異なるものの混乱しないように工夫されています。民事訴訟では乙号証の提出について、準備出来次第随時提出することが出来るので、最初から一気に証拠調べを行うことをしない点も考慮すると良いでしょう。




 

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