警察官が自己破産で懲戒処分されたニュースについて考えてみたいと思います。 通常公務員が自己破産をしても、公務員規則では何の処罰の対象にはならないというのが基本ですが、今回は多少事情が違うようです。 まずはこちらの事件のニュースの概要をどうぞ。
県警は20日、遊興費などのために返済能力を超える多額の借金をし、警察官としての信用を失墜させたとして、和歌山東署地域課に勤務する男性巡査部長(50)を停職3か月の懲戒処分にしたと発表した。処分は同日付。
県警監察課によると、巡査部長は2010年4月、住宅の改築目的として金融機関1社から370万円を借り入れたが、実際にはパチンコなどの遊興費として使った。同年8月に、この金融機関から住宅を改築したことを示す領収書などの書類が 示されないなどと県警に相談があったことをきっかけに、巡査部長に多額の借金があることが発覚。
県警は巡査部長に対し、返済を進めるように指導したが、今年7月の時点でも、消費者金融を含む10社から約3900万円の借り入れが残っていた。この内1社から同月、巡査部長は給与を差し押さえられ、自己破産の手続きをとることを決めたという。 鳴海武則・県警監察課長は「職員の心情把握や、指導を徹底していく」とコメントした。
多額借金の巡査部長処分 パチンコ代などで自己破産 : 和歌山 : 地域 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
消費者金融を含む10社で3900万円というのがまず驚きですが、警察官は貸金業者からすると信用があるのでしょうね。住宅の改築目的として借り入れをしたわけですが、額が大きいのは建築費用がかかるということで、あり得る話ではあるのですが、実際にそのお金をパチンコに使ってしまったということです。 その挙げ句に返済をしないまま自己破産で逃げようとしたわけですから、貸した業者はたまったものじゃないですよね。ある意味、報復的に警察に相談して内情を暴露したという経緯です、警察官ですから警察に相談すれば内容が発覚してしまいますからね。
騙して多額の借金をしたばかりか自己破産で逃げようとしたわけですから計画性があったのなら詐欺事件ですよね。地元の警察としては刑事事件になる前に処分をしたという体裁を整えたというのが本音でしょう。地方でこういう噂が広まると警察官に対する信用は下がることになりますからね。ですが最終的に処分が停職3か月の懲戒処分ということで甘すぎる感も否めません。
公務員はクビになりにくく、尚かつ定期的な安定した収入が入ってくるわけですから、給料を差し押さえることができれば貸金業者としては、取りっぱぐれることはありません。ですが自己破産となると話は別です、破産開始手続きが申し立てられると一切取り立てもできなくなります。では今回何故警察に相談に行って内情を暴露したのでしょうか?これは虚偽での借金をしたわけですから、自己破産の免責不許可事由にあたると考えていいと思います。
従って免責不許可になれば、借金の返済義務は残るということになりますから、借金の返済は逃れられなくなります。しかも今回は警察が認めて処罰したわけですから、その事実関係については裁判所は重く考えるはずです。
普通、警察官でも公務員でも人間ですから、パチンコやギャンブルに嵌る人は多いと思います。ですからそのような理由で自己破産になったとしても、今回のように処分を受けるというようなことは無いと思います。 しかし虚偽の理由で借金をして自己破産で逃げようとした場合であれば、他の公務員の方も懲戒免職などの処罰を受けるケースもありえるということです。近年は高額な給料をもらっている公務員の職務に対する国民の目も厳しくなっていますので、今回のように第三者からの警察への通報などは十分注意するべきで、日頃から倫理観や規律を持って生活することが求められますよね。
ちなみに公務員が自己破産をするケース非常に増えています。当サイトからでも相談依頼が最近は増えていますよね。安定した給料で信用もありますから弁護士さん的には優良顧客になるのではないかと思います。 大きな借金に膨れあがる前に弁護士さんに債務整理の相談をおすすめします。
公務員の規則については以下の通りです。
【国家公務員法】
①成年被後見人又は被保佐人
②禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又は執行を受けることがなくなるまでの者
③懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
④人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第111条までに規定する
⑤罪を犯し刑に処せられた者
⑥日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張 する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者
【地方公務員法】
①成年被後見人又は被保佐人
②禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者
③懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から2年を経過しない者
④人事院の人事官又は事務総長の職にあつて、第109条から第111条までに規定する
⑤罪を犯し刑に処せられた者
⑥日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを主張する政党その他の団体を結成し、又はこれに加入した者