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手形・小切手による金銭貸付けは違法行為の温床?一筋縄では行かないこともある


手形・小切手では、決済ができない場合、振出人に「不渡り処分」「銀行取引停止処分」という厳しい処分が下されることになります。金融機関は、金銭消費貸借契約書の作成だけでなく時には契約書の作成に代えて借主に、貸主である金融機関を受取人として手形を振り出させることによる貸付けをすることがあります。 これを「手形貸付け」といいます。

手形貸付けとは?

手形貸付けは、振出人が手形の不渡りを避けるために借入金の返済を確実に行わなければならないということや、支払い委託を受けている銀行にて決済が出来る利便性があります。また、手形を裏書譲渡することによって他からの金策を容易に行える点、訴訟を提起する場合の簡便性などの利点があります。このように手形貸付けが行われるのは、いわば現在ではなく満期日に支払いがなされるという手形の信用機能を活かすためです。したがって、小切手を金銭消費貸借契約書の際に振り出すことは本来的には小切手の性質に馴染むものではありません。

違法金利での実質的な貸付に利用される手形

特に、利息制限法を超過する違法金利で金銭の貸付けをしている消費者金融、商工ローン、更に悪質なシステム金融などは、金銭貸付けの際に手形・小切手の振出しを条件に金銭の貸付けをすることがあり、不渡りを回避したい借主は、法定の金利を遥かに超越する違法金利であるにもかかわらず、一旦手形や小切手を振り出してしまえば振出額について支払いを強制されることとなります。

手形貸付けにおいてよくみられるのが、はじめに手形取引約定書を作成し、これに伴い手形を担保として金銭貸付けをするが、貸付けの際には支払期日までの利息を天引きにされます。例えば100万円を借りる場合には、額面100万円とする手形を担保として差し入れ、手形の支払期日までの金利を天引き、例えば90万円の交付を受けます。

手形の支払期日が近づくと延期した支払期日を記載した新たな手形(ジャンプ手形)を貸付業者に交付します。業者はあらたな手形から利息を天引きした金額を当座預金口座に送金します。借主は送金の際に天引きされた金利相当額を調達して、送金された金額と併せて当初の手形を決済します。

弁護士による手形債権取り立て中止要請

手形・小切手が金銭貸付けに際して振り出されている場合の対処方法についてです。弁護士の対応としては、債権者に対する受任通知において手形・小切手の取り立てを中止するように要請します。

弁護士が行う手形債権取り立て中止要請には、様々な項目が含まれて違法行為がある場合には糾弾する旨が記載されることが通常です。以下のような項目についても随時記載された通知が届くことになるでしょう。

①手形・小切手の振出日、支払金額等が白地のまま降り出されている場合は、金融庁ガイドラインに抵触する恐れがあること
②借入金利が出資法に定められている年利29.2%を超過する場合には、当該貸付行為が違法行為であり刑事罰の対象となること
③仮に出資法違反となる高金利でない場合であっても、債務者からの聴取により、債権者側に貸金業登録の未登録、過剰な融資、 必要書面の不交付等の貸金業法違反が存在する可能性の周知
④債権者が万が一当該手形・小切手を取り立てに回した場合には、直ちに損害賠償請求をする旨の告知
⑤場合によっては刑事告訴などの法的手段に着手する等の姿勢を記載
実際に全てが記載されるとは限りませんが、あらゆる手段を使うことを見せつつ交渉することが必要です。

手形・小切手取り立て禁止の仮処分

手形・小切手取り立て禁止仮処分についてです。 金融機関の中には、債務者の代理人から手形・小切手を取り立てに回さないことや、直ちに返還されたい旨の要求を受けるとこれに応じる者もいます。しかし、債務者から受け取った手形・小切手を他の金融機関の担保として差し入れて借入をしている業者等の場合には、一概に手形債権取り立て中止要請に応じるとは限りません。当該手形・小切手の取り立てを中止するには、業者が手形・小切手の差入先からこれを買い戻す必要があることなどの理由で、手形・小切手の返還要求に応じることに難色を示す場合もあります。これらの対策として、民事保全法による行為禁止の仮処分、即ち「手形・小切手取引禁止の仮処分」を申し立てる方法があります。

企業法務に強い弁護士を探す必要がある

債務整理に強い弁護士なら全てが手形・小切手取引について明るいかといえば、必ずしも詳しいとは限りません。中小企業の代表取締役ほど、商法のグレーゾーンを突いた手形取引に手を出して強引な資金調達を行っていることがあるので、債務整理に着手するだんかいで全てを正直に弁護士へ話す必要があるわけです。民事再生法と会社更生法のどちらを適用させて会社を整理するのかという点が重要ですが、会社の代表者が連帯保証人となっていることが多いために個人の債務整理にも関わります。法人と個人の債務整理を同時に行いつつ、金融機関が行う違法取引に対しても毅然とした対処を行える弁護士に任せるしか手段がありません。



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