振込代行の費用えらい高いんだけど…
任意整理や過払い金返還で消費者金融と和解した後に、依頼者は残金について通常3年以上の分割払いをしていくことになるのですが、その場合の支払方法として、弁護士を通して業者に支払いをするのか、自分で振り込むのか選択できるシステムになっている事務所がほとんどですよね。
「振込代行の費用えらい高いんだけど…」このように弁護士や司法書士の振込代行料金が高いということに後になって気付くのですが、和解後に追加料金を要求してくる事務所が今大問題になっているのです。TVCMで有名な大阪の大手法務事務所に依頼した人の口コミで、こうした和解後にしつこく営業の電話を、債務者の携帯にかけてくるケースが相次いでいます。
この振込代行の料金については1件1,000円以上と法的に決められているのですが、某法務事務所では1件2,000円かかるようです。借り入れが3件あれば毎月6,000円、返済に3年掛かるなら、代行手数料だけで216,000円 それに任意整理の費用220,000円を足すと総額436,000円になってしまうのです。借り入れ件数が10件や20件という人も中にはいると思いますが、膨大な振込代行料金になりますよね。
和解後のサポート何やるの?
「和解後のサポート」と称して、返済振込を代行してくれる(返済金額は口座引き落とし) 完済までの間のトラブル等のサポートが名目になります。和解で借入金の返済も多大な負担であるのに、さらに弁護士の着手金や減額成功報酬の支払い、これにこの和解後のサポート代金も含めてしまうと、現状の多重債務の時の支払いと何ら変わらない状況になってしまうことは明白なわけです。
こういったトラブルを防ぐためには、全ての料金体制を契約前に確認するしかありません。着手金や報酬が安めに設定してある場合でも、こうした後で理由を付けて搾取するシステムは気を付けなければなりません。今回の大阪の法務事務所は選択式で債務者が選べる状況ですから強制ではない分、その選択を断ることもできるのですが、断ると逆に対応が冷たくなり一切のサポートも受け付けない状況になるということです。
振込代行の料金は1社税抜き1,000円でやっている法律事務所の方が多いと思いますので、契約前に必ず確認して、そういう弁護士事務所を選んでいただきたいです。また借り入れ数が少ない人(5社以内)は、1社1,000円(税抜き)払ってでも弁護士や司法書士を通して支払いをした方が良いでしょう。なぜなら、自分で支払うとやはり支払いがルーズになってしまいますので、間に入ってもらうことで支払えなくなったときのリカバリーもワンクッション置くことで大分違いますし、完全に支払不能に陥った場合も、すぐに自己破産手続きに変更することができるからです。
振込代行を勧める弁護士の狙いは2つに分かれる
任意整理で和解に至った場合には、和解協議書に署名捺印をすることで以後は和解協議書通りの返済を完済に至るまで継続します。その際に弁護士が振込代行を行ってくれることは、実際に債権者にとってもメリットが大きいことは確かです。なぜなら、いつ連絡がつくか分からない債務者へ直接連絡しなくても、振込が無ければ振込代行をしている弁護士へ事情確認してもらうだけで済むからです。債権者にとって債務者が和解協議書通りに返済してくれるという信頼は既に持っていないので、面倒な対応を弁護士に任せることが出来ます。では、振込代行を勧めている弁護士はなぜ手間がかかる振込代行を積極的にしようとするのでしょうか。実は、弁護士により次の2種類の本心が見え隠れしているので、どのような目的で弁護士が振込代行を受任したがるのかチェックしておく必要があります。
①親切心で行っている
和解協議書通りの分割払いをしなければ、すぐに訴えられるリスクを抱えている状況下で、今までの生活を本当に改めているのか心配になるので経過観察を兼ねて親切心で振込代行を行う弁護士がいます。法律事務所の事務員が、手間の掛かる入金確認と債権者への振込を行うので、実際には1件1,000円という費用では振込手数料を差し引くと人件費が出ません。確実に事務員の人件費までしっかり出るようにするためには、実費ベースとして倍額の2,000円は妥当な線です。このため、必ずしも1件2,000円という振込代行手数料が振込手数料を含んでいる点を考慮すると高いわけでは無いと分かります。
②再度債務整理を行う際に確実に受任するため
弁護士の中には、和解協議書を取りまとめたにも関わらず、債務者が再度滞納するだろうという予測の下で振込代行を勧めてくることがあります。再度返済が滞り、債権者から和解協議書違反を理由に一括返済を求められた時に、今度は個人再生や自己破産をすぐに受任するため振込代行を通して債務者の動向をチェックしているわけです。将来発生するかもしれない債務整理の受任を見越した依頼受注のための種まきと考えれば分かりやすいです。こうした弁護士に依頼してまとめられた任意整理は、返済が厳しいギリギリのタイプとなっていることが多く、中には最初から再度債務整理を行う前提の場合すらあるので要注意です。
振込代行手数料は実費を1,000円単位に繰り上げが基本
振込代行手数料は、なぜ1,000円以上となっているのか疑問に思う人がいますが、法律で税抜き1,000円以上という決まりがあるからです。実際の振込手数料は、弁護士事務所が使っている銀行口座により異なるので、実は大半が利益という可能性は否定できません。しかし、1件1,000円で間違いが許されない債務者からの振込確認と債権者への振込を行わなければならないことは、事務員によるダブルチェックを要するほど重要です。債務者が思っている以上に人件費と手間が掛かるので、実際は1件1,000円では割に合わないとして、採算ラインに合う1件2,000円を採用している弁護士事務所があります。
いざという時に相談出来る窓口を確保
弁護士に振込代行を依頼する最大のメリットは、和解協議書通りにお金を用意出来なくなった事情が発生した時に、すぐ弁護士へ相談出来る点が挙げられます。債権者への連絡を行う際に、弁護士を通すことで次回入金約束を精神的に追い詰められずに行うことが可能です。このため、弁護士が債権者へ振り込む日よりも10日程度前に弁護士への振込期限を設けていることが一般的であって、中には更に余裕を持って振込を行うケースが少なくありません。実際に2ヶ月後の給与が勤務日数の兼ね合いで少ないと考えられる場合には、手元にお金を残すと使ってしまうからという理由で、今月は多く弁護士へ振込しておこうといった使い方が出来ます。
弁護士から債権者への振込代行は、毎月和解協議書に記載された金額のみを振り込むので、多く入金した分は次回支払いに利用されます。36回払いのうち2ヶ月分程度を前倒し入金しておけば、弁護士だけでなく債務者にとっても余裕が持てるわけです。いざ病気や怪我で働けない時期が出たとしても、プールしておいたお金を債権者に弁護士経由で振り込みつつ、事情を説明して猶予を事前にもらえる可能性すら残せます。任意整理の和解相手があまりにも多すぎて振込代行手数料が多くなりすぎる場合には、自分で振込した方が経費は掛かりませんが、いざ遅延が発生した時には督促電話が鳴り響いて大変なことになりかねません。弁護士に振込代行を依頼するかどうかは、弁護士の方針だけでなく、手間とリスクをいかに省けるかを重視して熟考した上で判断すると良いでしょう。