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個人再生における財産調査って何するの?再生計画を立てるために必要な調査だった


財産状態の正確な把握は、計画弁済総額を画する基準である清算価値保障原則との関係で重要です。特に問題になるのは、仮に退職した場合の退職金、生命保険解約払戻金、不動産、自動車、過払金返還請求が可能な場合の返還額等の扱いです。 それぞれの財産価値の評定は、原則として精算価値(処分価額)を基準としてなされますが、その場合の必要書類は以下になります。

■退職金 → 退職金予定支給額計算書(1/8あるいは1/4の価額が財産として計算)
■生命保険 → 生命保険解約払戻金計算書
■不動産 → 固定資産評価証明書または査定書
■自動車 → 査定書

過払金返還請求が可能な場合の処理については、難しい問題ですが相手方が会社か個人か、相手方の資力等をファクターとして、回収可能性の有無を考慮して判断していくべきです。自分の財産を失念しているかの確認としては、預金通帳を1年前、あるいは2年前まで遡ってチェックしてみることが有用です。なお、通帳は裁判所側もかなり入念にチェックするので、裁判所から指摘されて初めて気が付くということのないように注意しましょう。

個人再生は再生計画案を作成しなければ申し立て出来ない

個人再生を行うためには、圧縮した債務を原則として3年間で弁済することになるので、いくらまで債務を圧縮できるのかがポイントになります。個人再生は5,000万円未満の債務に対して適用可能ですが、そもそも生活しながら弁済を行うためには余程の年収が無い限り数千万円の返済を3年間で行うことは出来ません。このため、大半の場合には最低弁済額を決める際には1,500万円未満の時に適用される範囲内までを目安にすると良いでしょう。

①基準債権額が100万円未満の場合は基準債券額の全額
②基準債権額が100万円以上500万円未満の場合は100万円
③基準債権額が500万円以上1500万円未満の場合は基準債券額の5分の1

1,500万円を超えると返済額が300万円以上となるために年間100万円以上の弁済が必要になります。毎月84,000円以上の返済能力があるならば、既に高所得者の可能性が高いので余程のことが無い限り最低弁済額の基準表ではこれ以上高い分類が使われる例は少ないと考えて良いです。

弁済額の決定に必要な2つの原則

個人再生の申し立てを行う上で、弁済額を決める際には次の2つの原則に従う必要があります。

①「最低弁済額基準」と「清算価値」のどちらか多い方を最低弁済額とする
②清算価値保障原則を満たす

両方の条件を満たした金額のうち最も高いものが、個人再生の再生計画案で弁済する最低弁済額となるわけです。

最低弁済額基準は、法律上定められた基準に基づく最低限の弁済額ですが、既に住宅を除く資産を多く持っているならば債権者に対して分配しなければなりません。そこで、個人が持つ財産調査を行って、最低弁済額基準よりも保有財産が多ければ、手持ちの保有財産を清算価値として住宅を除く部分で換算した金額を分割払いすることになります。一方、清算価値保障原則については、自己破産を行い破産管財事件となった際に債権者に分配される金額が、個人再生における弁済金額を下回ってはならないという基準です。自己破産を行ったことにより、債権者に迷惑を掛けるという方法が債務整理方法の中では最も債権者に厳しい手段とされています。その自己破産による免責決定を上回る負担を個人再生手続きにより債権者に求めることは酷となるため、あくまでも個人再生は自己破産における免責を超えてはならないことになっているわけです。

財産調査を行う上で基準となる金額にバラツキがあるのはなぜか

退職金・生命保険・不動産・自動車といった個人財産を調査した上で算定し、個人再生手続きにおける再生計画案に盛り込む必要があります。しかし、不動産や自動車のようにすぐに売却した時の価値を勘案したものに対して、退職金ならば1/8または1/4、生命保険については解約返戻金のみという扱いとなる点を不思議に思う人もいるでしょう。なぜ違いが生まれているのかという点が、個人再生における財産調査では重要となります。

退職金については、今すぐに退職した場合に受け取り可能な退職金予定支給額を計上し、実際に最低弁済額を決める時には1/8または1/4の金額を組み込みます。1/8と1/4の違いは、既に退職予定があるかどうかの違いであって、あくまでも退職金は会社の経営状態や今後の倒産有無により支給自体が消滅する可能性があるので、実際に受取可能な金額ではなくすぐに退職しなければ1/8という皮算用の数字です。実際に退職予定があるならば、机上の数字とはならないので、懲罰可能性も含めて倍額の1/4を計上することになっています。

生命保険については、死亡保障がそもそもの保険金額ですが、個人再生は本人が生存して弁済を続ける前提ですから本人が死亡する前提での計算は出来ません。そこで、今すぐ生命保険を解約した場合の解約返戻金のみを資産として計上します。個人再生を行う際には、実際に生命保険を解約する必要は無く、解約返戻金に相当する金額分だけ最低弁済額が上乗せされると考えて良いです。

財産調査により自己破産は出来なくても個人再生なら可能なケースが発生する

会社を退職せずに自己破産をするためには、退職金予定支給額計算書に記載されている金額を基準として1/8または1/4の金額を破産管財人を通して債権者に即分配しなければなりません。このため、自己破産を行う際に同時廃止事件ではなく、破産管財事件となる場合には退職金の1/8または1/4を即座に用意出来なければ、そもそも自己破産を行えないという矛盾が生まれます。

一方、個人再生ならば同じ金額を資産として計上するものの、3年間で弁済を行う金額に上乗せすることで、一括払いする必要が無くなります。余程の大企業で定年間近という場合には、早期退職を行い退職金で借金を一括返済すれば良いので、そもそも個人再生の出番が無くなるわけです。個人再生手続きを行う際の財産調査は、本当に個人再生手続きがふさわしい債務整理方法なのか、検討する際にも役立ちます。



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