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銀行系カードで生活費の借入れなら債務整理方法は複数ある


Dさん(夫)の家族構成は、妻、長男(8歳)次男(4歳)の四人家族です。Dさんは最初に銀行系カードを作り、生活費の不足分の借り入れなどに利用していました。その後、流通系カードを作り、日用品の買い物や生活費の借り入れ、借金の返済のための借り入れなどに利用していました。

現在の妻と結婚し、長男、次男が生まれると、その間にクレジットカードで結婚や出産費用、衣類や電化製品、食料品の買物等の生活費の借り入れを繰り返しました。そして借金返済のために消費者金融からも借金をするようになっていきました。

Dさん夫妻が弁護士事務所の相談窓口に相談に訪れた時には、銀行、銀行系クレジット会社、クレジット会社、消費者金融、7社より約540万円債務を抱えていました。またDさんの妻も流通系クレジット会社2社より約170万円債務を抱えていました。

Dさん夫妻の毎月の返済額は32万円に上っていました。 他方、Dさんの手取り収入は23~26万円でしたので毎月の返済必要額は、Dさんの手取り月収を大幅に上回る状態になっていました。Dさんは、返済日が近づくと不安にかられ、夜もよく眠れず自殺まで考えるようになっていましたが、子供達の寝顔を見るとこのままではいけないと考えて、思い切って弁護士事務所の相談窓口に相談に行きました。

Dさん夫妻は、弁護士に自己破産の申立てを依頼し、弁護士が直ちに受任通知を債権者に送付したので、クレジット・消費者金融業者などの督促・取り立ても止まり、その月から32万円の返済金を用意しなくてよくなりました。自己破産申立て費用や弁護士費用は、Dさんの収入の中から毎月3万円ずつ支払っていくことになりました。

Dさん夫妻は、地方裁判所に自己破産申立てと免責申立てを行い、弁護士が裁判官と面接を行って同日に破産宣告と同時廃止決定がなされています。さらに2ヶ月後に免責審尋が行われ、翌月にDさん夫妻に対し免責決定がなされています。

家計の収支バランスを把握する時期が遅れた

上記の事例では、結婚・出産・生活費の支出と本来自分で計画的に賄わなければならない部分をクレジットカードに頼りすぎていたことが自己破産に至る最大の要因でした。家計の収支バランスを夫婦でしっかり把握した上で、家族計画をしっかり行うことが重要です。家計が赤字の状態で2人目の子供を授かろうとする時点で、既に無計画だったことが分かります。夫婦の人生設計を行う際には、女性の妊娠と出産に伴い働けない期間が発生することは確かです。出産可能年齢があるものの、妻の年収が不安定になることを考慮した上で、少なくとも毎月貯蓄が出来る環境を整えてから結婚と出産に踏み切るべきでした。

早期の債務整理を行えば任意整理で済むことが多い

クレジットカードを常に1回払いと2回払いのみで利用していれば、金利手数料が不要な分だけ家計のやりくりを意識出来るようになります。消費者金融からの高金利カードローンを利用しなくても、クレジットカードには残債が溜まり続けるリボルビング払いという悪魔の誘惑が待ち構えていると知っておかなければなりません。毎月貯蓄が出来るように家計管理をしっかりしている家庭では、金利手数料が発生するクレジットカードの使い方を一切していないので、そもそも借金問題で債務整理に至ることがありません。

家計管理が甘い新婚時代では、クレジットカードの利用可能枠をあたかも自分の預金であるかのような勘違いをしやすく、リボルビング払いをすることで毎月の支払額が一定になるために節約しなくなってしまいがちです。リボルビング払いの危険性に気がついて元金ならば何とか3年間で返済出来る状況ならば、将来利息をカットしてもらう任意整理で済むことが多いでしょう。債務整理を早期に行えば、比較的早く生活再建を行うことが出来ます。一度引き上げてしまった生活水準は、再度下げることがいかに難しいか任意整理を行うことで思い切った決心が出来ます。

債務総額が年収を超えた時点で個人再生手続きが視野に入る

債務総額が年収を超えてしまった時点で債務整理に着手すると、任意整理ではとても3年間での元金完済が間に合いません。元金を3年間で完済することは諦めて、生活再建を優先するために債務総額を最大1/5まで圧縮可能な個人再生手続きが債務整理方法として適しています。個人再生手続きならば、住宅ローン特則を適用させることで持ち家を持ったまま債務整理に着手しても、持ち家を失うことはありません。

自己破産は持ち家を売却されてしまうので、何とか住宅ローンだけは返済をしたいと考えている人にとって有効な方法です。住宅ローンを除く債務総額が年収を少し超えた程度ならば、債務を最大1/5迄圧縮することで毎月の返済額を大幅に減らせます。生活再建をしつつ借金を全額踏み倒さずに減免してもらった金額を毎月確実に返済するという流れです。

返済額が月収の過半数に至ったら自己破産の申し立てをするしかない

返済額が月収の過半数に至ると、元金の完済はおろか個人再生手続きであっても場合により厳しい状況となりかねません。なぜなら、月収の過半数に至る返済額は、債務総額が大きいだけでなく収入減少に伴い返済不能に陥っている可能性があるからです。最初から収入に見合った生活をしておらず、借入で返済を続ける自転車操業状態が続くと、収入を上回る返済額となりかねません。債務整理を早期に行っていれば任意整理で済んでいたケースであっても、返済額が月収の過半数に至るまで債務整理をせずに放置していると、自己破産を選択せざるを得ない状況に陥ります。

借金を増やしてしまった理由として、ギャンブルや浪費と認定されてしまうと破産免責不許可事由に該当してしまうので、場合により自己破産をしても免責決定が受けられないリスクがあります。可能な限り自己破産に至るまでの借金額とせず、個人再生手続きで返済できる範囲の段階で債務整理に着手すれば、選択肢が1つしか無い状況を避けられるでしょう。債務整理は早期に着手しなければならない理由として、生活再建に至るまでの選択肢が多いうちに債務整理に着手すれば、借金返済に苦しむ期間が少なく済むからです。



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