クレジットや消費者金融からの債務を重ね、どうしようもなく最終的に自己破産の申立てを選択する場合があります。どんなケースで破産宣告手続きの開始決定がされたのか実際の例をご紹介いたします。
■クレカで買い物・レジャーで返済が困難になり自己破産になった例
Aさんは24歳のOLで会社に入社した時にクレジットカードを作り、洋服やアクセサリーの買い物や海外旅行・スキーなどのレジャーの為クレジットカードを利用するうちに、いつの間にか自分の給料(手取り14万円)では毎月の返済が困難となり、次第にカードでキャッシングをして返済したり、消費者金融から借金して返済をするようになり、債務が雪だるま式に膨らんでいってしまったのです。
Aさんはウェイトレスなどのアルバイトをするなどして債務の返済に努めましたが、昼夜の労働のため自分の身体をこわしてしまいました。気が付くと信販・クレジット系会社6社、消費者金融2社より総額450万の債務を抱え、毎月の返済額は25万円となっていました。この時点でAさんは弁護士に相談することを決め、自己破産の申し立てをすることになりました。
Aさんは地元の地方裁判所に破産申し立てをして、1ヶ月後に破産審尋が行われ、20日後に破産宣告と同時廃止決定がなされました。そして1週間後に免責申立てをして、1年後免責審尋が行われ翌月に免責決定がなされました。Aさんの破産申立ての予納金は2万円で免責申立ての予納金はいりませんでした。
Aさんは今後堅実な生活を送り、二度とカードや消費者金融を利用しない決意を固めています。
【メモ】今回は免責決定まで1年を要していますが、裁判所や個々の債務状況などにより期間は変わります。早ければ4ヶ月程度でも免責決定はでます。
弁護士が受任した時点で消費者金融への返済はしなくてもよいのですが、自分で自己破産をする場合は破産手続き開始の決定の時点で返済はストップできます。
自己破産の申し立ては本人であっても強い精神力があれば可能
上記Aさんの例では、クレジットカードを使いすぎて借入で返済を続けることにより、雪だるま式に借金が膨らんでしまったことが原因です。自分の給料以上の返済を行うことは、単に借金を雪だるま式に増やすだけであって、返済を行っているとは到底言えません。それでも繰り返してしまったことは、借金問題を先送りにしただけと考えて良いでしょう。実際には、自己破産の申し立て自体は本人申し立てと弁護士による代理人申し立ての2種類が存在します。申し立て先が住所地を管轄する地方裁判所となるので、本人の代理人として申し立て出来るのはあくまでも弁護士のみです。
自己破産申立書類作成は、裁判所の書記官に相談しながら作成することは勿論可能ですが、実際に自己破産申し立てをするためには、債権者一覧表の作成を行うため全ての債権者から全取引履歴開示請求をしなければなりません。弁護士が介入した場合とは異なり、同時に督促行為も受けることになるので、極めて強い精神力を持たない限りは途中で挫折してしまうでしょう。現実的には弁護士または司法書士に自己破産書類作成を依頼するため、間に入ってもらった上で債権者全てに受任通知を発送してもらえば督促が止まり、生活再建に向けて一歩踏み出せます。
司法書士に依頼できるのは書類作成業務のみ
弁護士よりも自己破産手続きを行う際に費用が安く済む司法書士は、地方裁判所に対して訴訟代理権を持たないのであくまでも自己破産申立書類作成のみを依頼することになります。実際の自己破産申し立ては、本人が申し立てしたことになるので、最大3回裁判所へ出向くことになるわけです。司法書士が隣でサポートしてくれるという手筈にはなりますが、あくまでもアドバイスだけであって裁判官からの尋問に対しては自ら回答しなければなりません。
司法書士に依頼すれば、自己破産申立書類作成で不備を出さずに裁判所と債権者から矛盾点を突かれる心配が無くなるでしょう。債権者に対して受任通知を発送してくれる点は弁護士と変わらないので、本来ならば自分で行う自己破産準備作業と債務調査を債権者からの督促を受けること無く出来る点でメリットが大きいです。注意点としては、司法書士に依頼している場合には、自己破産申し立てまでの期間を短くしないとその間に債権者から訴えられて、強制執行を受ける可能性があります。また、東京地方裁判所では本人申し立ての場合には、即日面談を実施出来ないので弁護士に依頼した場合よりも破産免責決定を受けるまでの期間が1ヶ月程度長くなります。
弁護士に依頼すれば破産免責決定までが早い
自己破産の申し立てを弁護士に依頼すると、破産同時廃止事件となるならば実際には裁判所へ破産免責審尋を行う時に1回だけ行けば良い状態となります。本人申し立てでは最大3回裁判所へ出向く必要がありましたが、平日の昼間に3回休みを取ることが難しい職種の場合、1回だけで済むならば有給消化を行うといった方法で臨めば良いでしょう。少額破産管財事件となった場合には、破産管財人として担当した弁護士がそのまま任命されることが多いので、破産管財人報酬を含めた弁護士費用を節約出来ます。
弁護士に自己破産申し立てを委任契約すると、代理人として1から動いてもらえるので、基本的に弁護士の指示通りに動いているだけで手続き可能です。戸籍謄本や住民票といった本人が取得しなければならない書類については、実際に申し立てを行う直前に用意すれば良いので、毎日働きながら過ごしているだけで督促から開放された生活を営めます。破産免責決定までの期間を弁護士に依頼すると縮めることが出来るので、特に東京地方裁判所に自己破産申し立てする人ならば即日面談の効果が大きいです。毎月弁護士へ家計簿をつけて送付することで、今までとは異なる家計のやりくりを数字で表すことが出来るようになります。破産免責決定を受ける頃には、毎月一定額の貯蓄が出来る程度の金銭感覚になっていれば、その後に大きく崩れることは無いでしょう。自己破産申し立てをする際には、話が通じて信頼できる弁護士に依頼すれば、不明な点を逐一確認しながら手続きを進められます。