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任意整理【特集】
任意整理の解説まとめ
クレジット・消費者金融の整理方法としては、任意整理・特定調停・訴訟・自己破産などが考えられますが、多額の債務を抱えて支払不能の状態に陥った人が最期の救済手段として利用している自己破産を除いて、債務整理の方法として弁護士の間で一般的に多く用いられているのは、任意整理による方法です。
任意整理とは、裁判所などの公的機関を利用せず、指摘にクレジット・消費者金融業者と話し合い、合意により集団的に債務整理をすることです。その場合、債務者本人ではなかなか債務整理に応じてくれませんので、弁護士などに整理を委任した方がよいでしょう。任意整理を弁護士に依頼すると、直ちに当該業者に対して受任の通知書を送付します、これにより取り立てなどがストップすることになります。
任意整理に向くケース
任意整理に向いている場合というのは、まだ債務が非常に小額で債権者の数も少ない場合ですとか、親戚、知人、友人などに事情を話してお金を借りて、
すべての業者に一括して返すことのできる場合に適しているといえます。
任意整理の手順】
それぞれの事情によって返済計画は異なりますが、最も一般的な手順として次のような場合が挙げられます。
①債務調査→②債務確定→③弁済案の作成→④業者との交渉→⑤整理案に対する業者の同意→弁済の開始
まず①の債務確定ですが、債務確定を行う前段階として、それぞれのクレジット・消費者金融業者からの借受金額、借受年月日、返済金額、返済年月日を手許にある借用証、領収証、振込金受領書などに基づいて、債務調査表を作成します。借用証や領収証などが手許にない場合は、直接クレジット・消費者金融業者に照会するか、債権調査票を送付して回答を求める方法で調査します。
次にその債務調査結果に基づいて債務確定作業を行いますが、この過程で重要なのは、消費者金融業者はみんな利息制限法違反の利息を取っていますので、利息制限法に基づいて計算して残債務を確定することです。利息制限法の制限利息を超過する部分は元本に充当され、元本に充当した結果、元本が完済となった後の過払い金は返還請求できます。
利息制限法に基づいて計算すると債務は大体少なくとも二~三割は減縮されます。
また、多いときは五割位減縮できる時もありますし、固定した消費者金融業者に長期間支払っている場合は過払いとなり、過払い金の返還請求ができる場合もあります。クレジット会社(信販会社)のキャッシング債務は、同じローン債務ですので、消費者金融の債務と同様に利息制限法に基づき計算して確定すればよいわけです。
このようにして、残債務を確定した後、弁済案を作成します。弁済案は一括弁済案か分割弁済案になります。
親、兄弟などから援助が得られて一定のまとまった資金調達が可能であれば、一括弁済案を作成し、それが困難なときは、毎月の収入より家族の生活に必要な経費を差し引いて返済に充てられる金額を配当資源として、各業者の債券額に応じて毎月弁済していく分割弁済案を作成します。場合によれば各業者に一定のまとまった頭金を支払い、残額について分割払いをしていくというような弁済案を作成することもあります。弁済案は債務者の収入や周囲の援助額などを勘案して、状況に合った柔軟な弁済案を作成していくことが必要です。
弁済案が作成されれば、各業者に送付し業者と交渉し、同意が得られたら弁済を開始します。利息制限法に基づいて債務を確定させ、任意整理を行う場合、債務者本人や親族の者が、クレジット・消費者金融と交渉すれば、業者は言うことを聞かずに困難が伴う事が多いと思われますので、そのような場合は、交渉を弁護士に委任すれば、ほとんどのクレジット・消費者金融業者が交渉に応じ、整理案を承諾します。
相談事例
私は信販会社3社、消費者金融4社より約500万円の借金をしていますが、月収は手取り30万円で家族は妻と小学校1年の子供が1人います。最近妻もパートで働き始め一ヶ月約7万円の収入がありますので、毎月20万円はクレジット・消費者金融債務の返済に充てられますが、現在は利息だけでも毎月16万位になるので、完済の見通しが立たず困っています。私のような場合でも任意整理の方法で解決できますか?
答え
利息制限法で計算すれば、クレジット・消費者金融の債務は二~三割減縮できるのが普通ですから、200万円以下の債務額になると思われます。そうすると毎月10万円ずつ支払っていけば、完済までの中間利息を考慮しても、ほぼ二年間で完済できる分割弁済案が提示できますから、十分、業者の承諾は得られますので、任意整理の方法で解決可能と思われます。くれぐれも弁済案に基づく返済は滞らないようにしてください。
任意整理が難しい要因
債務整理で悩んでいる人の中には、この任意整理にこだわり、なかなか自己破産に踏み切れない人もいます。しかし、任意整理を成功させるのは、一般的にはなかなか難しいといわざるを得ません。
その原因はいろいろありますが、まず①利息制限法引直し計算をきちんとしない業者がいること。計算の基礎になる取引経過書を出さないケースがあります。いつ、いくら返したのかを記載したものが無ければ計算できませんし、本人も混乱していて全然覚えていないのが通常です。
全債権者に債権の一部をカットを呑ませるのも、なかなか困難です。自己破産であれば全額取りはぐれるわけですから、3割カットであればゼロよりはいいと思うはずですが、全ての業者がこのように合理的に行動するとは限りません。やはり裁判所が介入して、資産・収入などをきちんと調査してもらわないと安心できないということでしょうか。
計画に従った返済に関しても、これをきちんとやらない人も残念ながら非常に多いのです。裁判所の正式の手続きを経ていないからでしょうか、ただ当座の請求だけ止まればいいという安易な考えで任意整理を望んでも、うまくいきません。任意整理をした人の7割が結局自己破産していると言われています。しかしじゃあ何でも自己破産で行けばいいのかというと、これにも限界があるのが現実です。