どのような人が債務整理の対象?
【自転車操業による借金の雪だるま式増加】
消費者金融やクレジットから借金をして返済困難になった人を多重債務者と言っていますが、消費者金融の利用者は1900万人を突破したと言われています。150万人から200万人の多重債務者は、自分の収入で返済ができなくなっています。返済しないとクレジット・消費者金融から厳しい取立てを受けることになり、特に職場に取立ての電話があれば職場に居づらくなります。現在は、不況のまっただ中であり、職場にクレジット・消費者金融業者の取立ての電話が何度もかかってくるとリストラの対象になるので、何とか電話が来ないようにするために、新しい消費者金融やクレジットカードで借金をして自転車操業をしているわけです。
【多重債務の例】
5年前にふとしたことで消費者金融から30万円を借りたことがきっかけとなり、気が付くと借金の額がクレジット・消費者金融会社21社1372万円にも膨れあがってしまったということです。返済が遅れた分だけでも100万円近くに上っており、とても自分の収入(年収420万円)だけでは返済できず、少しでも返済が遅れると職場まで督促の電話がかかってきて仕事もできないほどであると訴えています。
消費者金融・クレジット会社21社から1372万円も借金をすると、通常は毎月の返済必要額が50万円から60万円になります。当然この年収では毎月の手取り月収は二十数万円程度ですのでとても払っていけません。
しかしながら、返済しないと毎月21社から取立ての電話が職場にかかってくることになります。そうすると職場に居づらくなるので、何とかしようと思い、結局は返済のために新たな借金をするという自転車操業を繰り返すことになるのです。
このように夜逃げをしている多重債務者の生活は非常に不安定であり、精神的にも肉体的にもボロボロになった末にホームレスになる人も多く存在します。
借金苦による犯罪も増加しています。ヤミ金融の取立てに追われた老女がひったくり事件を起こし、強盗容疑で逮捕されています。このところの医療費の負担増、年金支給額の引き下げ、不況による雇用難などが高齢者を直撃しており、高齢者が消費者金融やヤミ金の餌食になっているのです。
【借金苦による自殺・夜逃げ・ホームレス・犯罪】
多重債務やクレジット・消費者金融の苛酷な取立てを苦にした自殺や夜逃げが多発しています。経済苦・生活苦による自殺者の多くは、借金苦による自殺です。さらに借金苦のために夜逃げしている人は、年間十数万人に上っているといわれています。借金苦で夜逃げしている多重債務者は、みな住民票を移動しないで逃げています。住民票を移動するとすぐにクレジット・消費者金融業者の取立てが始まるからです。
住民票を移動しないと、ちゃんとした仕事になかなかつきにくくなります。日雇い仕事やパートやアルバイトといった不安定な仕事にしかつけません。また、小学校、中学校の子供がいた場合、住民票がないと正式入学ができず仮入学児童となります。さらに、夜逃げをした人が一番困るのは、病気になったり負傷したときです。住民票を移動していないと健康保険に加入できないので、治療費や入院費が全額自己負担になるからです。
【自己破産は最後の救済手段】
クレジット・消費者金融などにより多額多重債務を抱えてしまい、返済が困難となった場合に、任意整理により業者と交渉し、合意を取り付けて債務を整理する方法があります。しかしながら任意整理は、一定の返済資源を調達できる時にはじめて可能になる債務整理方法です。また、個人再生手続きによる債務整理についても、一定の返済資源を調達する必要があります。
それでは、返済資源が全く調達できなかったり、調達できたとしてもとても業者(債権者)の同意を取り付けることができない位の小額であった場合はどうしたらよいのでしょうか。任意整理や個人再生手続きが困難なほどの多額多重債務を抱えた人々にも、再出発の機会を与える最後の救済手段として「自己破産」という制度があります。最近の多重債務者の破産申立てで特徴的なことは、バブル経済崩壊下の経済不況の影響を受けて、「不況型」「生活苦型」の破産申立てが急増していることです。
多重債務者の状況により債務整理の方法もいくつかあるわけですから、困難な状況でも諦めずに、弁護士に早めに相談して借金問題を早期に整理すべく、まず第一歩を踏み出してみましょう。